10月から始まるBS朝日の新番組「旅する鈴木」(14日スタート、午後9時)の会見を取材した。

映像作家鈴木陵生さん(39)と、ヨガインストラクターの聡子さん(41)夫妻が世界各国を旅するようすを収めたVTRを、鈴木浩介(44)と鈴木杏(32)がコメントしながら見守る紀行番組。旅動画を1日1本ネットに公開していたことが番組の誕生につながり、過去2回の特番を経てレギュラー化が決定した。

元々は「1年半の予定だった」(陵生さん)というが、2人は11年から現在まで“新婚旅行”として8年にわたり世界旅行を続けている。旅先は44カ国150都市以上にのぼる。妻の聡子さんは出発時32歳だったが、この新婚旅行が初海外で、旅行願望もまったくなかったようだった。

記者も32歳で海外出張を経験するまで日本を1歩も出たことのない人間で、聡子さんの話に勝手なシンパシーを感じてしまった。ということで会見後、鈴木夫妻にいろいろ話を聞いてみた。

世界旅行を続けていると言っても行きっぱなしではなく、1~2年旅をし、3カ月ほど日本に戻る、というサイクルを繰り返していたという。昨年ようやく都内に住居を構えたが、最初の出発時に住民票を抜き、住まいを引き払っていたため、陵生さんは「死んだら『住所不定無職の鈴木が…』ってなるね、とは言ってました」と笑いながら振り返る。当初は「割と自転車操業だった」(陵生さん)と明かす資金繰りについても、現在は旅関連の収入や映像作家、ヨガインストラクターとしての仕事でまかなっているとのことだった。

旅は陵生さんの発案だった。旅行欲のない聡子さんがなぜ同行を決めたのかと聞くと「結婚1年目だし、(離れ離れになるのは)長いな」と、新婚ならではの理由があったよう。今ではすっかり旅慣れており、現時点で8年の長旅になっていることについては「(時間が)たっちゃいましたね」と笑った。

この旅をいつまで続けられるかについては「続けようと思ったら、ずっと続けてしまいますね」と聡子さん。陵生さんも「一生旅人キャラではいたいよね」とうなずいた。車1つで旅する老夫婦に出会うこともしばしばあるといい「70、80のおじいちゃん夫婦がキャンプサイトでたき火しているのを何回か見て、あれがかっこいいんですよ。楽しいと思います」と夢は膨らむ。

小心者の記者は、語学が堪能でないことを理由に海外旅行に二の足を踏んでいたが、そこまで大事なことではない? と聞くと、陵生さんは「うん、間違いなく」。聡子さんも「はい。どうにかなります。なってます」と夫妻から心強い言葉をもらった。

最後に、ミーハー心でオススメの旅先を聞いてみた。腐るほどされてきた質問かと思いきや、その人の目的や好みに合わせて提案するとのこと。その時も記者の希望をくみ取りながら、ある島の名前を挙げてくれた。初めて聞く土地だったので、忘れないようノートにしっかりメモした。今年は難しいが、いつか行ってやろうともくろんでいる。

ちなみに番組の映像はプライベート感が強く、自分が旅をしている気になれる。音がうるさくなく景色もきれいなため、仕事に疲れている人や、いろんな理由で海外旅行がかなわない人が見ると、気が晴れると思う。【遠藤尚子】