東京国際映画祭事務局は6日、33回目を迎える今年は、19年まで実施していたインターナショナルコンペティション、アジアの新鋭監督を集めた部門「アジアの未来」、日本映画の気鋭作品をそろえた「日本映画スプラッシュ」の3部門を1つに統合すると発表した。

「TOKYO プレミア2020」と題し、さまざまな賞を競う形ではなく、全作品を対象に観客の投票で決める「観客賞」を設けることにしたという。

今回の変革は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に歯止めが利かない中、監督や俳優、観客も含めた人の国際的移動の困難や、感染対策の徹底など多くの制約があり、例年と同じような映画祭を行うことが難しい事実を受けてのものだという。

世界3大映画祭の1つ、カンヌ映画祭(フランス)も通常開催を見送ったように、新型コロナウイルスの感染拡大は各国の映画祭にも大きな影響を与えている。

その中、東京国際映画祭は、映画館でのフィジカルな上映を基本に、シンポジウムやゲストのトークなどでオンラインも活用しつつ「今年は観客の皆様が主役です」という考え方で観客賞を設けるという。

また、東京フィルメックスとの連携を深めることも強調。「カンヌ映画祭の大きな枠組みの中で独立性をもって開催される『カンヌ監督週間』と似た形で、ほぼ時期を同じくして開催致します。映画界の連帯強化という理念の下に、相互乗り入れ効果を期待しています」とした。

上映作品の選定に当たっては、幅広い知見、人脈と多様な価値観を有する外部専門家の協力を受け、委員会制の合議の下に進めるという。作品選定コミッティメンバーには、「Japan Now」部門プログラミング・アドバイザーなど東京国際映画祭に深く関わってきた安藤紘平早大名誉教授、東京国際映画祭の石坂健治、矢田部吉彦両シニア・プログラマー、東京フィルメックスの市山尚三ディレクター、映画ジャーナリストの金原由佳、関口裕子両氏が名を連ねた。

現状、10月31日から11月9日まで開催するべく準備を進めているが、今後の新型コロナウイルスの感染拡大の状況次第では「私たちの映画祭も開催の可否も含めて大きな影響を受ける可能性もあります」とした。