英ロンドンで大ヒット映画「ミッション:インポッシブル」シリーズ第7弾を撮影中の米俳優トム・クルーズ(58)が、撮影現場で新型コロナウイルスの感染予防対策を破ったスタッフを罵倒する音声データが流出し、波紋を呼んでいる。

英ザ・サン紙が音声データと現場の様子をスクープしたもので、ソーシャルディスタンスを守らずに2メートル以内の距離で会話していたスタッフ2人に激怒したクルーズが、「次に同じことをやったら、クビだ。もうここにいなくていい。他のヤツらも同じだ。2度とやるなよ。ここで中断させるわけにはいかないんだ」などと汚い言葉を交えて怒鳴り散らしている。「ハリウッドでは僕たちのために今、映画を作っている人たちがいるんだ。僕たちを信じてくれているからだ。毎晩、スタジオや保険会社やプロデューサーに電話をかけているんだぞ。僕たちが何千もの雇用を生み出しているんだ。この野郎!」などと叫ぶ声も収められており、プロ意識の高さからスタッフの気の緩みが許せなかったのではとの声も出ている。音声はいつ誰が録音したものかは不明だが、報道によると今月初旬からロンドンに移動して撮影が行われていたという。

同作はイタリアで撮影中だった今年2月に新型コロナウイルスの感染拡大の影響で撮影が中断し、9月に英国で撮影を再開させたものの10月に複数のスタッフの感染が発覚して再び撮影が中断されるなど、パンデミックの影響を大きく受けている。大幅に撮影が遅れ、公開も延期されただけでなく、本国アメリカではいまだに感染拡大が止まらずに映画館の閉鎖が続き、多くの作品が劇場公開を見送るなど業界全体に多大な影響が出ていることに対するいら立ちがあったことも一因ではないかと言われている。

音声は米ABCやFOXテレビなど主要メディアでも繰り返し公開され、ネットでは感染予防を徹底するためには必要なことだと擁護する意見がある一方で、スタッフに対する虐待で怒り狂うモンスターのようだという意見もある。例えどのような状況であっても主演のスターが現場でこのような振る舞いをすることは正当なのかという論議も巻き起こっている。シリーズ第7弾は来年11月19日全米公開を予定している。(ロサンゼルス=千歳香奈子)