お笑いコンビ品川庄司の品川ヒロシが、6年ぶりに長編のメガホンをとった映画「リスタート」が、今月16日から全国公開(北海道は9日から先行公開)される。

北海道・下川町と吉本興業がSDGs推進における連携協定を結び発足したプロジェクトから生まれた作品。クラウドファンディングで撮影のための資金を調達した。

シンガー・ソングライターを目指し上京した主人公が、地下アイドルとして活動も、スキャンダルに巻き込まれたことで故郷に戻る。失意のため1人で殻に閉じこもるが、豊かな自然や仲間、家族の存在によって前をむき始める再生の物語だ。脚本も品川が書き下ろした。

ご多分に漏れず、この作品もコロナ禍で上映スケジュールが二転三転した。公開延期はこのご時世でよくあることだが、今作はクラファンで資金を集めているだけに、上映の日程が決まらないことに、品川は心苦しくてたまらなかったという。

もしも、お蔵入りにでもなってしまえば、集めた資金は返金しなければならない。さらに返金が不可能となれば、ある種の詐欺事件に発展する可能性もゼロではない。

芸能界を長く取材していると、映画にまつわる詐欺話をよく耳にする。いわゆる自称プロデューサーが企画書を持ち歩き、俳優サイドにオファーをした上で、スポンサーに対して出資を募る。でも、映画は完成することはなく、いつのまにか自称プロデューサーが消えているというパターンだ。

完成イベントで、品川は「クラファンでお金を集めたのにお待たせしている罪悪感にさいなまれていました。昨春公開の予定だったのに、いつ公開とも言えず、リターンをお返しできず、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。ここまで待っていただき本当にありがとう」と感謝しきりだった。

品川が主役に抜てきしたのは、男女フォークデュオHONEBONEのボーカルEMILY(30)。東京・高円寺から生まれたデュオで、品川がたまたまテレビ番組で見かけ抜てきしたという。音楽もHONEBONEが手掛け、女優としてもボーカリストとしても今後の活躍が期待される逸材だと思う。もしも、彼女が今作でスターダムに乗ったとしたら、品川の監督としての株が格段に上がることは確実だ。