V6がデビュー26周年を迎えた1日、千葉・幕張メッセで全国ツアー千秋楽となるラストライブを開催し、解散した。熱気に包まれたステージで41曲をパフォーマンスし、最後までファンを魅了した。メンバー6人が1人も欠けず26年間を走り抜けた芸能界史上まれに見るアイドルグループが、大団円を迎えた。

   ◇   ◇   ◇

V6は「母船」である。乗組員が1人も変わることなく、航海を続けてきた。時に各人が別々の船で海に乗り出し、さまざまな収穫を持ち帰った。

メンバー6人全員にインタビューした。リーダー坂本は「V6はタレント性を持った6人の顔があって、だから個性を尊重したそれぞれの仕事もこなせる」と語った。その言葉通り、みな個性を開花させた。

森田は「舞台を経験して、舞台はみんなでつくるものだと悟った。僕の舞台のように、メンバーそれぞれがソロ活動で得た新しい風をV6に取り込んで、V6も変化していけばと思います」。井ノ原は「例えば野球チームでも入れ替わりたち替わりで、1つのメンバーでずっとは特殊と思う。家族でも友達でもないし、当てはまる言葉はないが、それがV6」と話した。

個性的な信念も語った。食博士の長野は「食を生きていくための『作業』にしたくない。つめ、肌、髪、体調、その日の気持ちなど全部、食に影響されます。食を楽しんでほしい」。常に若々しい三宅はアジアツアーなどを経験して「日本には『生粋の現代人』はいるけど『生粋の日本人』はもういないんじゃないかと感じる。僕は日本人の誇りを、形を変えながらでも持ち続けたい」と話した。

岡田は俳優の地位を確立していく過程で、ドイツの哲学者ニーチェの言葉「若い人たちへ」を大切にした。概略は「若さは多くの危険にさらされるが、愛と希望を決して捨てるな」。岡田は「(若い)今の気持ちを大事に、捨て去らずに、高貴なものとして持ち続けたい」と誓った。

個性豊かな6人が「母船」を信頼しながら、安住せず、絶妙のバランスで活動した26年だった。V6の「V」にはさまざまな意味があるが、「Voyage(航海)」がふさわしい。これからも続く「V」である。【元ジャニーズ事務所担当・笹森文彦】