世界3大映画祭の1つ、カンヌ映画祭事務局が14日、ラインアップを発表し、是枝裕和監督(59)が手掛けた初の韓国映画「ベイビー・ブローカー」が最高賞パルムドールを争うコンペティション部門に出品された。同部門への出品は、18年に同賞を受賞した「万引き家族」以来4年ぶり6度目。19年にパルムドールを受賞した「パラサイト 半地下の家族」(ポン・ジュノ監督)にも主演した、韓国の俳優ソン・ガンホ(55)とのタッグで2度目のパルムドールを目指す。

是枝監督は「6回目だからといって、うれしくないかと言ったらそんなことはありません」と出品を喜んだ。19年の映画「真実」で、初めてフランスとの国際共同製作で映画を作り上げたことに続き、今度は韓国で製作しており「異国での、言語や文化の違いを超えた今回の共同作業を高く評価して頂けて、僕だけでなくスタッフ、キャスト皆が報われたとホッとしています」と語った。その上で「4年ぶりのカンヌ参加になりますが、コロナ禍だけではなく、世界が大きく揺れる時代に映画を作り続けること、そして、世界に届けることの意味を考える良い機会にしたいと思います」とコメントした。

また、日本をはじめ世界的にも話題を呼んだ20年の韓国ドラマ「梨泰院クラス」で、主人公が経営する居酒屋の料理長マ・ヒョニ役を演じたイ・ジュヨンが出演することも併せて発表された。劇中では、ペ・ドゥナとコンビを組んでベイビー・ブローカーたちを追う刑事を演じる。加えて日本では、6月の全国公開が決まった。

◆「ベイビー・ブローカー」 クリーニング店を営むサンヒョン(ソン・ガンホ)と、赤ちゃんポストがある施設で働くドンス(カン・ドンウォン)の裏稼業はベイビー・ブローカーで土砂降りの晩、ソヨン(イ・ジウン)がポストに預けた赤ん坊を連れ去る。翌日、思い直したソヨンが赤ん坊不在に気づき警察に通報しようとすると「大切に育ててくれる家族を見つけようとした」と白状。あきれたソヨンだが成り行きで2人と養父母探しの旅に出る。尾行する刑事スジン(ぺ・ドゥナ)と後輩のイ刑事(イ・ジュヨン)も追う。

 

◆是枝裕和(これえだ・ひろかず)1962年(昭37)6月6日、東京都生まれ。87年に早大第一文学部文芸学科卒業後、テレビマンユニオンに参加しドキュメンタリー番組の演出を中心に活動。95年、初監督作「幻の光」がベネチア映画祭金のオゼッラ賞を受賞。カンヌ映画祭出品は、01年「DISTANCE」のコンペ部門が初。04年は「誰も知らない」で柳楽優弥が史上最年少14歳で男優賞受賞。15年には「海街diary」をコンペ部門、「海よりもまだ深く」をある視点部門に出品。14年に制作者集団「分福」立ち上げ。