TBS系情報番組「THE TIME’」(月~金曜午前4時30分)、「THE TIME,」(月~金曜午前5時20分)に出演しているTBS杉山真也アナウンサー(38)を取材した。

インタビュー前の写真撮影で、カメラマンとともに自己紹介すると「私、日刊スポーツを入社1年目からずっと読んでいるんです。スポーツ紙全紙読むのですが、実況も担当しているので、野球の表なんかがすごく見やすいんです。芸能面のレイアウトも好きで、15年間、毎朝最初に読んでいますよ!」。リップサービスとはいえ、こちらの気分は上がる。

そんな様子からインタビュー慣れているのかなと、想像しながら取材が始まった。杉山アナは開口一番「大丈夫ですか? 私なんかで」。聞くと、番組の企画で別の人について聞かれたことはあるものの、自身についてのインタビューは初めてという。

ただやはりそこは16年目のアナウンサー。「伝える」ということに関する能力は飛び抜けて高い。こちらが「1」聞けば、毎度「5」や「6」で返ってくる。見出しになりそうなコメントをポンポン出してくれる。

この日は「THE TIME’」について聞く取材ではあったが、個人的には「16年目のアナウンサーってどんな立場なの?」というテーマをもってインタビューに臨んでいた。30代後半という年齢は、一般社会においても脂が乗って第一線で活躍する世代だろう。アナウンサーという「専門職」で、どんなことが求められるのか、どんな思いなのかを聞きたかった。その部分については、別稿で書いたので、ここでは省略するが、その流れで聞いた、アナウンサーからみた「同期」という存在について記したい。

杉山アナは、10期上に「THE TIME,」でも共演する安住紳一郎アナウンサー(48)がいる。いわずとしれた日本を代表するアナウンサーで、杉山アナも「手前みそで申し訳ないですけど日本一のアナウンサー」と尊敬の意を示していた。そして、TBSの同期には「Nスタ」(月~金曜午後3時49分)やラジオ「井上貴博 土曜日の 『あ』」(土曜午後1時)で大活躍中の井上貴博アナウンサー(37)がいる。

井上アナについて聞くと「すごいなと思ってみています。いろいろ若いときから『朝ズバッ!』のMCをやったり、他の番組でプレゼンターをやったりして、『Nスタ』やって。ラジオも始まってすごいなってみていますね。そういう意味では同期として刺激になる部分もちろんありますし、自分も頑張らなきゃってなりますね」。

しかし、偉大な先輩や同期がいても、自身の目指すべき道は見失っていない。「安住さんが登っている山と井上が登っている山と私が登っている山は3人とも違う山。それぞれが目指すフィールドで上がっていければいいなと思いますね、直接そういう話はしないですけどね」。

井上アナに限らず、同期には各部署で活躍する局員がいる。16年目の社会人にとっての「同期」とはどんな存在なのか。

「いい距離感でみんな付き合えているっていう感じですね。ベタベタではなく。離れてもいないけど、一緒にやるとものすごい心強いので、現場に1人同期がいるのとかは、社会人としての醍醐味(だいごみ)はめちゃくちゃあると思います。現場にいると心強い存在。毎日連絡撮ったり毎日同じ部署にいるわけではないですけど。社会人になると友達ってできにくいじゃないですか。会社の先輩、後輩でもない、同期なんだけど友達に近い関係性。会社の中で唯一話せる人たちっていう感じですかね」

さらにこう続けた。

「もちろん個々の関係性は変わってきて当然だと思うんですけど、新人の時に『あれやりたい』って言っていたのを何年かたってできる喜びとか、当初の目的とは全然違うところで大活躍していたりとか。そこで一緒に仕事したりとか。アナウンサーって呼んでもらうことが多いので、誰か(同期)がやっている番組で、『是非ナレーションやってよ』『仕事してよ』って一緒に仕事できることが多いので、うれしいですね」

会社を辞めようと思ったことはなく、今も全くそのような思いはないという。

「正直1ミリも辞める気はありません。しがみつけるだけしがみつきたい。ははははは」と笑う。「全然辞めようと思ったこと1回もないです、アナウンサーもTBSも。フリーじゃ絶対やっていけない。食えない」。そう自虐して謙遜しつつ、会社への強い思い入れを感じた。【佐藤成】