「第22回テレビ朝日新人シナリオ大賞」発表会見が28日、都内の同局で行われ、埼玉県在住の大学4年生、若杉栞南(かんな)さん(22)の「拝啓、奇妙なお隣さま」が大賞を受賞した。

「家族」をテーマに1064作の応募があった。受賞作は、植物状態に陥った青年と老人2人が、当人にしか聞こえないモノローグで会話していく異色作で、「見たことがないドラマを作れる可能性を示した」と評価された。若杉さんは「私のいろいろな思いが詰まった作品が大賞をいただけてうれしい。脚本の道を目指す私の背中を押してくれた家族に感謝したい」と涙で喜びを語った。

これから書きたい脚本と、演じてほしい主演俳優について質問を受けると、「多重人格をテーマにしたドラマを書いてみたい。内面に表れる人格の中でヒューマンドラマを書けたら。主演は、可能なら仲野大賀さんにお願いしたい」と笑顔。「これからたくさん脚本を書いて、若杉栞南の脚本だと分かるようなシナリオを書いていきたい」と決意を語った。

審査員の岡田惠和氏は「1度も目を覚ますことがなく心の声だけで芝居をするという、撮影の大変さを考えると書けないタイプの脚本。作品として見てみたいと思った」。両沢和幸氏は「大胆な脚本。主人公が目覚めた後の後半戦が印象的」とし、井上由美子氏は「ファンタジーだが感情のリアリティーがある。人が死ぬのにハッピーエンドのテイスト。説教くさくなく、この10年で最も好きな作品」と激賞した。

ほかに、バラエティー構成作家平岡達哉さん(40)の「さすらいのパンツマン」、ゲームプランナー宮本真生さん(30)の「代表取締役息子」がそれぞれ優秀賞を受賞した。