英国のヘンリー王子(38)が、10日に出版された回顧録「スペア」の中で2000年代後半に戦闘機の攻撃訓練で、自身の父親の車を狙った後に助けたと明かしていることが分かった。

英デイリー・メール紙によると、ロイヤルファミリーがクリスマスを過ごすことで知られるサンドリンガム・ハウスがある英ノーフォークで、タイフーン戦闘機に当時皇太子だった父チャールズ国王の乗った車をターゲットにするよう指示し、直前で目標を変えて助けたことを明かしているという。

英陸軍「王室騎兵隊」の装甲偵察部隊に所属していたヘンリー王子は、軍隊時代に副操縦士として派遣されたアフガニスタンで敵の戦闘員25人を殺害したと同書の中で明かし、物議を醸している。

将校として偵察部隊を指揮していた王子は、「大好きだった」という父の訪問を受けた際に仕事に戻らなければならず、走り去る父の車を新たな目標にするようタイフーン戦闘機に指示したという。車を追跡した戦闘機が低空飛行でアウディの真上を通過した際には窓ガラスが割れそうだったと明かし、「最終的に近くにあった納屋を目標にするよう再度指示を出し、父を助けた。タイフーン戦闘機は納屋を吹き飛ばして粉々にした」と記している。

ヘンリー王子によると、マーハム空軍基地はサンドリンガム・ハウスとは数キロしか離れていないにも関わらず、父親が立ち寄ったことは一度もなかったという。同紙によると飛行禁止区域だったサンドリンガムに当時、タイフーン戦闘機が飛行したことに対して地元住民から多くの苦情が寄せられていたといい、「これは戦争だ」と言われたと伝えている。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)