サックス奏者の馬場智章(30)が20日、都内でアニメ映画「BLUE GIANT」(立川譲監督)ティーチインイベントに出席した。

石塚真一氏による同名コミックの映画化。ジャズに魅了されてテナーサックスを始めた主人公の宮本大が、世界一のジャズプレーヤーを目指す物語で、馬場は大のサックス演奏を担当した。

ライブ出演の際に声をかけられることが増えたといい、「映画をきっかけにジャズに興味を持っていただけてうれしい。僕も若いですが、もっと若い世代にも楽器を始めたいな、サックスをやりたいなと思ってもらえたらうれしい」と反響を喜んだ。

馬場はオーディションで、劇中のサックス奏者に決まった。ライブハウスで馬場の演奏を聞いたという立川監督は「馬場さんの音が艶っぽくて大人っぽい、エロチックな感じだった」と振り返った。演奏後は馬場から話しかけられ、「見慣れない顔ぶれだったんでしょうね、『今日はどうしたんですか?』と。ライブに来てみたくてと言ったら、笑顔で『いいっすね!』って。それがめちゃくちゃ大っぽくて」。また「音もすごく良かった。オーディションの中に馬場さんの名前はなかったけど、僕が入れたいと。大の音は強くて、音が割れても気にしないまっすぐな感じ。大の性格そのもの。それが音で表現できていることが大事だった」と話した。

馬場は、大としての演奏と自身の演奏は「全く違う」と言い、レコーディングを「普段使わないくらいの音量と音圧でずっと演奏していた」と回想。割れた音を再現するため、酸欠状態になりながら収録に臨み「力が入っているので、どんどん頭が痛くなってきて。演奏をとった後、みんなに頭を冷やしてもらいながらやってました」と苦労を明かした。

レコーディングに立ち会った立川監督は「あと、おなかも空いてましたね」と消耗した当時の馬場の様子を明かし、「『脳の血管が切れそう』って言いながら、すごいお弁当食べてましたね」と笑顔。ライブで観客から「宮本大」としての演奏をリクエストされたことはないという馬場は「言われないけど、(やって欲しいと)思ってるでしょうね。でも絶対やらないです」と笑った。

主人公たちが組むジャズバンド「JASS」のオリジナル楽曲を含め、作品全体の音楽をピアニスト上原ひろみが担当。上原は劇中でピアノ演奏も務め、ドラム演奏を石若駿が担当している。