音楽家の坂本龍一(さかもと・りゅういち)さんが3月28日亡くなったことが2日、明らかになった。71歳だった。

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父は三島由紀夫の「仮面の告白」などを手掛けた有名な編集者だった。母方は実業家の家系で、3歳からピアノを学んだ。

4歳か5歳のころ、母と映画館に行き、膝の上に座ってイタリアの巨匠フェデリコ・フェリーニ監督の映画を見た。その時に聴いた主題歌が耳にこびり付いた。「この時の影響があった」と述懐している。

東京芸大に入学し、新宿ゴールデン街で知り合った音楽家の影響で、スタジオミュージシャンとして活動を始めた。山下達郎、大滝詠一らのアルバムに参加した。そんな中で、細野晴臣、高橋幸宏と出会う。テクノブームを作り上げるYMO(イエロー・マジック・オーケストラ)である。白人音楽でも黒人音楽でもない、黄色人種独特の音楽の確立を目指した。みるからに芸大生という風貌から「プロフェッサー(教授)」というあだ名で呼ばれた。

ラジオのパーソナリティー、CMのキャンペーンソング制作など多岐に活動した。忌野清志郎、夫人となる矢野顕子ら、交友関係は広がった。「戦場のメリークリスマス」「ラストエンペラー」など、傑作映画には俳優、音楽で携わった。

環境問題などにも積極的に発言した。根底に「人間性が変わらない限り、変革は難しい」という思いがあった。最後まで訴え続けて、逝った。【笹森文彦】

「教授」坂本龍一さん死去 YMOで一世風靡、ラストエンペラーなど数々の映画音楽/写真特集