フランスで開催中のカンヌ映画祭で、最高賞パルムドールを争うコンペティション部門に出品された、役所広司（67）の主演映画「Perfect Days」（日本公開未定）の公式上映が25日（日本時間26日）行われた。

公式上映後、主演の役所広司（67）をはじめ新人の中野有紗（16）田中泯（78）アオイヤマダ（22）が取材に応じた。取材陣からは今作を手がけ、87年「ベルリン・天使の詩」でカンヌ映画祭監督賞も受賞の巨匠・ドイツのヴィム・ヴェンダース監督（77）と組んだ印象について、「日本人とは違う感性があったか？」との質問が出た。

「Perfect Days」は、ヴェンダース監督の最新作。東京・渋谷で、世界的に活躍する16人の建築家やクリエーターが、同区内17カ所の公共トイレを新たなデザインで改修する、20年から行われるプロジェクト「THE TOKYO TOILET」のトイレを舞台に、役所を主演に撮影。自ら脚本も担当し、11年ぶりに来日してシナリオハンティングなどを行った。製作の発表も、同監督が来日し、22年5月に東京で開かれた会見で行われた。その席上で、役所が東京・渋谷でトイレの清掃員として働く平山を演じることも明らかにされた。

役所は「ヴェンダース監督は、日本のことがすごい好きで、よく知っていますよね。そういう意味で、他のドイツ人の監督が日本の東京を撮ったのとは全然、違うと思います。日本人の文化とか慣習について、すごく興味を持っている監督であって」と、同監督が日本を愛し、熟知していると強調。「日本を代表する（映画監督の）小津安二郎さんを尊敬し、かなり影響を受けているとおっしゃっている。そういう意味で、欧米人の方が日本を撮っているという違和感は全くなくて」と答えた。

さらに「ヴェンダース監督の才能とか力は、僕たちは彼の今までの作品で知っていますし、毎回、何をやってくれるのかが予測不能の監督なので、ドキドキしながら毎日、楽しみました」と撮影を振り返った。