先月18日に救急搬送された歌舞伎俳優市川猿之助(47)が、7~10月の公演を休演することが3日、松竹から発表された。

「七月大歌舞伎」昼の部「通し狂言 菊宴月白浪(きくのえんつきのしらなみ)」は市川中車(香川照之=57)に配役変更することが発表された。

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解説 中車は、猿之助からの配役変更で「菊宴月白浪」で主人公の斧定九郎(おの・さだくろう)を演じる。3代目市川猿之助(現猿翁)の得意演目を集めた四十八撰の1つで、32年ぶりの上演。澤瀉屋にとって大切な演目で、これまでに本興行で3度上演されており、猿翁以外に主演した役者はいない。猿翁の長男という以外にも、中車が主演するのは必然と思われる。定九郎は、歌舞伎の名作「仮名手本忠臣蔵」に登場する悪役だが、「菊宴-」では単なる悪役ではない別の視点が描かれる。歌舞伎で言う「実は…」の役柄は、芝居巧者である中車にはぴったり。知名度も抜群だ。5月に猿之助の代役を務めた中車の長男團子は、役イメージからかなり若いということもある。

中車は初の宙乗りにも挑戦する。客席上方をコの字に渡る両宙乗りで、見せ場たっぷりの大役だ。【小林千穂】