中山秀征の長男で俳優の中山翔貴(24)が、現在出演中のTBS系「下剋上球児」(日曜午後9時)にかける思いを語った。

7話から登場したムードメーカーの1年生投手・阪大輔を好演中の中山は、小学校1年生から16年間野球を続けた元球児。インタビューの後編では、自身が俳優を目指したきっかけや、共演者の鈴木亮平との交流を振り返った。【望月千草】

   ◇   ◇   ◇  

幼少期から野球に打ち込んだ中山だが、芸能界は身近な存在だった。父はタレントの中山秀征、母は元宝塚の白城あやか。中山自身も、母親に似た端正な顔立ちと、父親譲りの明るい性格。両親の話ばかり質問するのは気が引けたが「全然大丈夫ですよ!」と嫌な顔1つせず、記者の質問にハキハキと答えてくれた。

表舞台に立つことの興味を覚えたのは、高校3年生の頃。母親が出演する舞台を見たことがきっかけとなった。「宝塚のOGコンサートで『エリザベート』を見て、スポットライトを浴びて舞台の中心に立つ姿に憧れました。そこで初めて興味を持ちました」。当時は大学進学を控え、すでに大学の野球部への入部も決めていたが、感動と衝撃は時がたっても色あせなかった。観客の歓声、輝く舞台と世界観。「あの時に見た光景が忘れられなくて、表に出るような仕事がしてみたいと思って決断しました。今も舞台に憧れはありますし、やってみたいと思っています」。22歳で芸能界入りを決めた。

両親は反対することなく、背中を押してくれた。「基本的に自分の選んだ道なら、何も言わないスタイル。父は『いいこともあるけど、苦しいことも多い。何か言われることもあるけど、それを覆すのは自分自身しかない。実力さえあれば見てもらえる世界だから』と言ってくれました」。タレントや司会者、幅広いジャンルで活躍する父は温かく見守ってくれる。「アドバイスをされることはないですね。ただ、どんな人にも謙虚でいることや人間関係の大切さは言われます。『現場でいろんなことを学んでくるといい』って言われました」。

取材を行った12月上旬は、「下剋上球児」の撮影も大詰め。父の助言を理解する瞬間もあった。「こういう人間力のある人が、良いお芝居をするんだろうなと思います」と、同作で野球部顧問・南雲脩司を演じる、鈴木亮平の謙虚で実直な人柄に憧れを抱く。「エキストラさんが何百人と撮影に来てくれていて、朝から晩まで撮影が続いて、疲れてしまう時もあると思います。亮平さんは、エキストラさんたちを飽きさせないように、撮影中に間があれば、マイクを持って『今からノック打ちまーす!』と言って、ノック打ち出したりするんです。そういう気遣いを分け隔てなくする人。すごく憧れますね」と、今後の財産となるような出会いに恵まれた。

撮影はまさに“全員野球”。部員キャストと鈴木が、演出に関して互いに助言を送り合った。中山は「この作品はアドリブも多いんです。クランクインの日、控えめにアドリブを入れてみたら、亮平さんが『それおもしろいね。もっと出していいよ』と言ってくれて。そのひと言のおかげで、自分もアドリブを入れられるようになりました」と自信を得た。

野球経験者の中山ら部員キャストは、野球初心者の鈴木を支えた。「亮平さんが僕たち野球経験者に『こういう時って監督はどういう行動取る?』とか聞いてくれました。『試合中に監督がこの場所にいておかしくないのか』とか『ここまで前に出ていいものなのか』とか、細かい所作まで突き詰めているんだなと感じます」。手を取り合い、同じ温度で作品を作り上げている。

中山自身は、俳優としてはまだまだ駆け出しだ。自身の生い立ちや経歴を抜きにして、一役者としての演技を見てほしいと願う。自身のデビューが公になった時は「中山秀征の長男」として注目された。ネガティブな意見も、もちろん耳に届いた。「たくさん目にしましたが、それはしょうがないです。自分の演技はまだまだですが、観ないで評価されるのは辛いので『下剋上球児』を観て頂けたらうれしい。その意見を変えていければと思います」。覆すのは自分しかいない、父の教えを胸に、誠実に役者業と向き合っている。

◆中山翔貴(なかやま・しょうき) 1999年(平11)3月18日生まれ、東京都出身。小学1年生から野球をはじめ、青山学院高校時代には都ベスト16。青山学院大では、投手として東部2部リーグ優勝に貢献、7年ぶりとなる1部昇格に貢献。右投げ右打ち。大学卒業後、俳優活動を開始し、22年4月にドラマ「しろめし修行僧」(TX)でデビュー。主な出演作にドラマ「ケイジとケンジ、時々ハンジ。」(テレビ朝日)、映画「沈黙の艦隊」などにも出演。今後挑戦してみたい役柄は「ヤクザ系の映画が好き。アクション系とかもやりたい」