「アホの坂田」で親しまれたお笑い芸人、坂田利夫さん(本名・地神利夫=じがみ・としお)が29日、老衰のため、大阪市内で亡くなった。

吉本興業が30日、発表した。82歳だった。通夜、葬儀告別式は近く近親者のみでとり行う。

坂田さんは、22年4月に110周年公演「伝説の一日」に出演。同年7月30日に、大阪市内で寄席に出演したのが最後になった。

関係者によると、近年は施設や病院を行き来するなどしていたが、盟友の間寛平は頻繁に坂田さんを見舞っていた。寛平はたびたび坂田さんの近況をSNSなどで伝えており、吉本によると「最期も寛平さんに見守られながら息を引き取った」という。

坂田さんは、前田五郎さんとのコンビ「コメディNO・1」で人気を博し、所属の吉本新喜劇やバラエティー番組などで愛されキャラで活躍した。02年、鈴木宗男衆院議員(当時)のものまねで再ブレーク。09年にコンビを解散した後、「坂田利夫 スペシャルコント」で舞台出演。「アホの坂田」キャラを貫いた。

生涯独身だったが、生前、坂田さんは、最愛の母に「(アホキャラで)心配をかけた」と言い、結婚願望はありつつも「アホの子と言われたら(結婚して子供ができても)かわいそう」と話したこともあった。

代表ギャグは「ありが~とさ~ん」や「あんたバカね、オホホ~」など。「アホ~アホ~アホの坂田~」。キダ・タロー作曲で坂田さんの代名詞ともいえる楽曲は、多くの人の記憶に残る。小さな身体で大きな笑いを生み出し続けた坂田さんが、静かに息を引き取った。

吉本興業によると、お別れ会の予定は現在のところ、ないという。