ジョギング人気が高まる中、十分な準備をせずにフルマラソンに挑戦するランナーが増えている。3月22日の東京マラソンではタレント松村邦洋(41)が急性心筋梗塞(こうそく)を起こし、心肺停止状態に陥った。医師団の一員として松村の蘇生(そせい)にかかわった埼玉医大総合医療センターの大貫学医師(48)は「たまたま抽選に当たり参加した人もいた。フルマラソンには命の危険があることを意識してほしい」と警鐘を鳴らしている。

 テレビ番組の企画で出場した松村は、15キロ地点の手前で立ち止まり後方に転倒。意識を失い口から泡を吹いた状態だった。近くを走っていた大貫医師らは心肺停止を確認。救急救命士が自動体外式除細動器(AED)を使い、2回目の電気ショックで心拍を再開させた。「1分以内に蘇生術を施せたから助かった。医療スタッフが少ない小規模な大会だったら助からなかった」と大貫医師。

 当日は約50人のドクターランナーと連携して伴走し、様子がおかしい100人以上のランナーに声を掛けた。「段階的な練習や健康診断など、必要な準備をしていない人が多かったのではないか」と指摘した。

 [2009年4月8日9時20分

 紙面から]ソーシャルブックマーク