覚せい剤取締法違反の罪で起訴され、17日に保釈される女優酒井法子被告(38)と、16日夕保釈された夫高相祐一被告(41)には今後、さらに厳しい生活が待っている。完全に「シャブ(覚せい剤)絶ち」できるかどうかについて、逮捕経験者や捜査関係者は「極めて難しい」と指摘する。覚せい剤事犯の再犯率は高い。夫婦は、今後長期間にわたり襲い続ける、再使用への“強烈な衝動”と闘わねばならないが、それに打ち勝つのは相当な覚悟が必要だという。

 90年代半ば、覚せい剤取締法違反の罪で有罪判決を受けたことがあり、覚せい剤事情に詳しい40代の男性(自営業)は「例えば、10年間覚せい剤をやっていた人は逮捕後、ほぼ10年間、『もう1度やりたい』という強烈な衝動、欲望に猛烈に苦しむことになる。思春期に異性に抱く、どうにもならない強い情動に似ているが、その何倍もの強さ。『セックスを今後一切するな』と言われるより、『覚せい剤を今後一切するな』と命じられるほうが、我慢するのが何倍もつらい。夫妻が、完全に『シャブ絶ち』するのは、それくらい厳しいことだ」と話した。

 酒井被告はこれまで、覚せい剤について「夫に勧められて3、4年前から使い始めた」「やめようと思ったが、やめられなかった」という趣旨の供述をしているとされる。この男性は「供述を聞くと、夫妻はすでに覚せい剤依存症の可能性が高い。覚せい剤を使用すると、脳内にドーパミン(脳内快楽物質)が大量に噴出されるが、その量は性行為などの比ではなく、1度その『感覚』に依存してしまうと、その記憶を脳内から消し去るのは容易ではない」と続けた。

 覚せい剤事件の再犯率は高い。「平成19年(07年)度版

 犯罪白書」によると、覚せい剤取締法違反で検挙された人の再犯率は、約41・6%。また、再犯者のうち約半数が、2年以内に再び検挙されるなど、再犯までの期間も短い。最近では昨年12月に覚せい剤取締法違反などの罪で執行猶予判決を受けた元AV女優(当時23)が、わずか約2カ月後の今年2月、再び同法違反容疑で逮捕され、懲役1年4月の実刑判決を受けた例がある。

 薬物担当の捜査関係者は「シャブ関連で逮捕した多くの人間のうち、私が知る限り、完全にシャブから足を洗えた人間はほとんどいないのが実情だ。本当にシャブ絶ちするなら、人間関係や環境を完全に変えないとダメ。シャブをやっている知人が1人でもいると、かなりの高確率で誘惑に負けてしまう」と警告した。

 [2009年9月17日8時31分

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