三谷幸喜監督(50)が新作映画で、戦国時代の歴史を変えた会議を題材にすることが26日、分かった。本能寺の変で急死した織田信長の後継者を決めた「清須会議」を描く。監督作として初の時代もので、27日に出版する同名小説が原作。昨年公開の「ステキな金縛り」は、興行収入42億8000万円で実写日本映画NO・1を記録。ヒットメーカーは、新作でも天下取りを力強く宣言した。出演者は現在調整中。東宝配給で来年秋公開。

 清須会議は、信長亡き後に、柴田勝家、羽柴秀吉、丹羽長秀、池田恒興の重臣が集まり、その後継者、領地問題を話し合った会議。都内で会見した三谷監督は子供時代から歴史好きだったことを明かし、「会議で歴史が決まった瞬間。これまでドラマなどでは、サラッと流されたり、ナレーションで終わったりしてた。こんなに面白いのに何で?

 という思いがあった」と創作のきっかけを語った。「勝者より敗者に興味がある。勝家の物語になる」。

 舞台や映画では、密室を舞台にした軽妙な会話劇を得意にしてきた。「劣勢だった秀吉が、いかに根回ししてライバルをつぶしていくかを描いた物語。僕にふさわしい時代劇は何かを考えたら、合戦ではない。やはり密室劇、会話劇がベストな題材」。

 原作小説は本来、昨年出版の予定だった。昨年は「生誕50年記念」と銘打ち、精力的に舞台、映画公開などを行った。その締めくくりに出版するはずだったがなかなか筆が進まず、大幅に延びた。「来月誕生日なので50歳のうちに出せたということで、まあいいか」と苦笑いした。節目に思うところもある。「亡くなった新藤兼人監督は100歳まで現役ですごい。僕も目指そうと。この作品は今後50年を考えた、次の50年への第1歩です」。

 オリジナルにこだわり、意外な結末で楽しませる三谷監督が、結果が判明している史実を描く。意外で難しさもあるが結果に至る過程を楽しめるように描く。ギャグをやや控え、必死に生きる人間喜劇に着目。出演者は「それぞれ主人公になりえるので、これまでにない豪華キャスト」と期待を持たせた。興行成績についても「天下を取らせてもらいます」と自信をのぞかせた。撮影は11月開始予定。清須城のオープンセットを作ることも予定している。

 ◆清須会議

 清洲会議とも表記。1582年(天正10)6月27日に尾張国の清須城で行われ、信長の後継問題、信長と明智光秀の領地の配分を議題にした。秀吉は後継者に信長の孫三法師をかつぎ、勝家は信長の三男信孝だと主張。血統の正統性が高いとして三法師に決まり、秀吉は後見人となった。秀吉は、天下統一を目指していた信長の事実上の後継者になった。