平成最後のバレンタインデーが、まもなくやってくる。日本のチョコレート年間消費量のうち、2月14日だけで2割を占めるといわれるほど定着したイベントだが、平成の30年の間に、女性が男性にチョコを贈るだけでなく、自分や女性同士で楽しむ機会に「多様化」した。今年は、80年ぶりに発見された話題の新種「ルビーチョコ」が登場。売り場のテーマパーク化で、違いを打ち出す百貨店もある。平成最後のバレンタイン事情を追った。

◆昭和から平成 バレンタインの歴史   

日本でバレンタインが定着したのは1970年代後半。女性から男性にチョコを贈るのが習慣化された。80年代になると。義理チョコが登場した。

都内の百貨店が90年代後半~2000年代にかけて集計したデータによると、義理チョコは1人当たり、平均10個程度購入。1つの商品に使う金額は、500円前後だった。お中元やお歳暮の感覚で、小分けにできるものが好まれ、配られていた。

一方、「本命チョコ」の平均額は3000円強。90年代から海外のメーカー品など、ブランド志向が強まった。90年代終盤には、97年に登場した生チョコやトリュフを本命用に贈ることが増えたという。さらに、セーターやネクタイ、マフラー、手袋、時計など、身につける品を合わせてプレゼントする女性も増えた。

ただ、別の百貨店関係者によると、女性たちの感覚は次第に、チョコを「男性に贈るもの」だけではなく、女友達に贈ったり、ひいては自分自身に買う機会としても、とらえるようになってきたという。女性に贈る「友チョコ」、自分には「自分チョコ」「自家需(ジカジュ=自家用の需要)」と呼ばれ、今ではすっかり定着。昭和から平成の間にバレンタインのチョコ購入目的は、様変わりした。

最近では、「スイーツ男子」が登場し、男性がバレンタイン商戦中に売り場を訪れて、自分用にチョコを買う光景も珍しくなくなった。流通業界関係者は「世界は『多様性』の時代に入っている。バレンタインも、多様性が当たり前になったといえます」と話した。