福井市の海水浴場で、遊泳区域内に現れている1頭の野生イルカにかまれるなどの被害が相次いでいる。鷹巣海水浴場を管理する鷹巣観光協会の小玉征子会長(77)は30日、「今日も朝5時くらいから2時間くらい悠々と泳いでいた。姿が見えなくなったので午前中には遊泳禁止を解除しました」。前日29日には2人が病院に救急搬送され、以降は遊泳禁止の処置をとっていた。今後も姿を発見時には、スピーカーで砂浜への避難を通達する予定だ。

「4月25日に初めて確認しました」。今月8日の海開きに備え、イルカが嫌がるとされる超音波発信機をブイに数カ所設置した効果があってか、姿を見ることはなかった。だが、10キロ以上離れた越廼(こしの)海水浴場では、足や手をかまれるなどの被害が約10件、発生。越廼海水浴場運営協議会は「絶対に触らないで!!」と注意喚起する看板を設置。市もホームページで「近づかない、触らない、エサをあげない」と呼び掛けている。

日本屈指の透明度を誇り、シュノーケリングなども楽しめる海水浴場。今年は多くのイベントなども予定されている。新型コロナウイルス第7波の影響による感染者急増を受け、県独自の「注意報」が「警報」に引き上げられたばかりのイルカ騒動。小玉会長は「コロナとのダブルパンチで海の家の団体客もキャンセルが多くなった。超音波も1カ月くらいすると慣れてしまって、効かなくなるみたいです」と夏休みの観光にも懸念を抱いた。

越前松島水族館(福井県坂井市)によれば、漁師やサーファーなどに寄ってきた事例も報告されており「これだけ人への執着が強い個体は珍しい。イルカはじゃれているつもりでも人間には危険な行為。捕獲は禁じられているので、飽きて海水浴場から離れていくのを待つしかない」。ミナミバンドウイルカとみられているが、「海水浴シーズン以外では福井の海にたくさんの種類のイルカが訪れています」と説明した。

癒やしの象徴として名前の挙がるイルカ。一緒に泳いだりして触れ合える水族館などがあるが、飼育下で調教されているからこそだ。危害を加えてしまったイルカに非はない。人間が注意を払いながら海水浴を楽しむことが重要だ。【鎌田直秀】