ソングラインの戸崎騎手は、大外枠から正攻法の競馬で差し切った。スタートを決めると、逃げた隣枠ウインカーネリアンのラインに乗って徐々に内へ。シャンパンカラーを間に挟んで内ラチから3列目の中団を進んでいく。あえて内に入れることもなく、馬の力を信じて馬群の外を回った。

シュネルマイスターが後ろにいるのは分かっていたが、4コーナーの途中で早めに手綱を押した。すぐにシャンパンカラーの外に開いて前を追う。後ろの有力馬にマークされると、気になって追いだしが遅れるものだが、その迷いを吹っ切ったゴーサインが1馬身4分の1差の完勝につながったとみていい。

雨上がりとはいえ、良馬場まで回復したマイルG1の前半3ハロン34秒2はさほど速くない。その証拠にレースの上がりは33秒8。最速の32秒8をマークしたシュネルマイスターでも2着セリフォスを捉え切れなかった。もし、ワンテンポ仕掛けを待っていたら、届かなかったかもしれない。「怖いのは後ろより前」。この勝負勘がソングラインを連覇に導いた。

ソングラインで安田記念を制した戸崎騎手はお立ち台でガッツポーズする(撮影・柴田隆二)
ソングラインで安田記念を制した戸崎騎手はお立ち台でガッツポーズする(撮影・柴田隆二)