<秋華賞>

リバティアイランドは強かった。ポテンシャルの違いと言ってしまえばそれまでだが、川田騎手の騎乗もソツがなかった。

秋華賞第1コーナーに向かう馬群(撮影・和賀正仁)
秋華賞第1コーナーに向かう馬群(撮影・和賀正仁)

スタートを決めると少しずつ外へ。1コーナーはごちゃついたが、うまく馬群をさばいて6、7番手。ラチ沿いから3列目、ラヴェルの後ろで落ちついた。先行有利の内回り2000メートル。しかも3、4ハロン目は13秒台と極端にペースが落ちた。これを見越しての位置取り。

向こう正面でリバティアイランドを外に持ち出した川田騎手(撮影・和賀正仁)
向こう正面でリバティアイランドを外に持ち出した川田騎手(撮影・和賀正仁)

向正面では外にソレイユヴィータがいたが、これを行かせてその後ろ。ピピオラとの間に入って、外に馬がいない状況を作った。これほどの馬になれば、不利を受けるのが一番怖い。だから距離ロスがあっても馬群の外へ導いた。

あとは仕掛けのタイミングだけ。4コーナーでは後ろから来る馬を待たず一気に加速。勝負を決めた。勝つ競馬をした、というより気分良く、リズム良く。川田騎手いわく「彼女らしく走りさえすれば」。そのための誘導。文句なしの勝利だった。

惜しかったのは2着マスクトディーヴァだ。1コーナーのポジション争いで1列後ろになったのが痛い。できればリバティアイランドの後ろを取りたかったはずだが、間にドゥーラ、ドゥアイズに入られ、4コーナーでも狙った進路が開かず。大外へ立て直すロスが響いた。

上がり3ハロンは勝ち馬をしのぐ33秒5。もっとスムーズな競馬ができていれば逆転まであったかも。そう思わせる強烈な末脚だった。まだキャリア5戦で伸びしろもある。今後の成長と、2頭の再戦(があるか分からないが)を楽しみにしたい。

秋華賞を制し牝馬3冠を達成したリバティアイランドと川田騎手(撮影・白石智彦)
秋華賞を制し牝馬3冠を達成したリバティアイランドと川田騎手(撮影・白石智彦)