ウインマーベルはポジション取りがうまくいった。松山騎手はスタートを決めると、少し気合をつけて3番手。さらに3コーナーでは2番手メイショウチタンの内へ入り、逃げたアサカラキングの後ろで流れに乗った。この時点である程度「相手は前」という意識があったのだろう。

逃げ馬とは2馬身ほどの間隔を保ちながら、間に入られないようにスピードをコントロール。この「絶妙な距離感」が、鼻差の接戦を制した一番の要因だ。もし前へ入られていたら、仕掛けのタイミングが遅れるし、進路選択でもロスが生じる。馬に余計な負担をかけず、スムーズに加速できたのは大きい。

直線は内ラチ沿いにスペースができたが、締められたら終わり。リスクを負わずアサカラキングの外へ出してスパート。このあたりの判断も的確だった。最後は相手のしぶとい粘りに遭ったが、3着サンライズロナウドが来ると、もう一度ファイトして前へ出た。

どちらかといえば競り合いに強く、混戦で勝負根性を発揮するタイプ。その特長を生かした位置取りが功を奏したといっていい。おっとりした気性で、短距離馬としては乗り難しさもあるが、22年の葵Sからコンビを組み、9戦5連対(2勝)と相性のいい松山騎手だから勝利に導けた。

阪急杯を制したウインマーベルと松山騎手(中央)ら(撮影・白石智彦)
阪急杯を制したウインマーベルと松山騎手(中央)ら(撮影・白石智彦)