<弥生賞>

コスモキュランダの弱点を、デムーロ騎手が強みに変えた。陣営から「器用じゃない」と聞くと、ならばとばかりスタンド前9番手から、3コーナーでは2番手まで浮上した。大味で器用な立ち回りとはいえないが、この馬の特徴を生かした「まくり&粘り」が重賞初制覇を引き寄せた。

コスモキュランダの上がりは3ハロン34秒9、ラスト1ハロン12秒0。ともに特筆すべき時計ではなく、瞬発力のある馬なら差し込めるラップだが、それでも有力馬の脚を封じ込めたところにデムーロ騎手のうまさがある。

逃げたシリウスコルトの前半1000メートルは60秒4。やや遅めの平均ペースだが、その後の2ハロンも12秒2、12秒1とさほど上がらず。ここで動く選択をしたのが一番の勝因だ。トロヴァトーレ、ダノンエアズロックを外からかわして前へ。意外なタイミングで、意外な馬(6番人気)に動かれ、追いかけていいのか、後続の各馬に迷いが生じた。

良発表でも少し掘れた馬場コンディション、平均の流れなど恵まれた面もあるが、そのあたりを計算に入れた位置取り、仕掛けのタイミングはさすが。コスモキュランダの力を100%引き出したデムーロ騎手の見事な手綱さばきだった。

弥生賞ディープインパクト記念を制したコスモキュランダのデムーロ騎手はガッツポーズ(撮影・柴田隆二)
弥生賞ディープインパクト記念を制したコスモキュランダのデムーロ騎手はガッツポーズ(撮影・柴田隆二)