今年のフェブラリーSは外国馬、地方馬も参戦し混戦ムードだ。水島晴之「G1の鍵 その一瞬」は、根岸S6着ケンシンコウ(牡6、小西)に注目する。

気難しさがあり成績は安定しないが、初めて1400メートルを経験したことがいい刺激になった。距離延長で大駆けの可能性を探る。

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根岸Sのケンシンコウは最後方から大外を回って1秒差の6着だった。この内容をどう見るかだが、初めての1400メートルを考えれば悪くない。上がり35秒3は、2着ギルデッドミラー(同35秒0)に次いで2位タイ。しかも直線は左手前のまま。左→右への手前替えに問題はあるが、G1でも通用の末脚は見せた。

何より距離を詰めたことで掛かることなく、最後まで集中して走れたのは収穫だ。これまでコースを1周する1700~1800メートルで4勝中3勝を挙げているが、スピードの加速、減速の少ないワンターンの方がリズム良く走れていた。手綱を取った田辺騎手も「これくらいの距離が合っているのかもしれない」と好感触を伝えており、新境地を開いたといってもいい。

1月29日、根岸Sで本馬場に入場したケンシンコウと田辺騎手
1月29日、根岸Sで本馬場に入場したケンシンコウと田辺騎手

とはいえ、レース序盤は馬群から3、4馬身置かれたように、追走に苦労していたのも事実。マイルへの延長は間違いなくプラスに出る。また、中距離より速い流れを経験できたのも大きい。前走より楽にポジションを取れれば、それだけ脚がたまり切れ味も増す。千四効果は絶大だ。

最近は続けて使えるように体質も強化。3歳時のレパードSでレコード勝ちしたようにポテンシャルは高い。前哨戦の距離短縮が刺激になれば激変がある。

【ここが鍵】

根岸S組が多く登録しているが、前哨戦の着順がそのままG1に直結するとは限らない。距離が200メートル延びて、ダートスタートから芝スタートに替わる。結果よりその内容を重視すべきだ。今年、勝ったレモンポップは7勝中5勝を1400メートルで挙げており、マイルがベストとは言えない。力は上位だが絶対視は禁物か。同組で条件替わりが吉と出るのはどの馬か。その見極めが重要になる。また、東京1600メートルはバック、ホームとも直線が長くタフなコース設定であり、中距離実績も頭に入れておきたい。

■レモンポップ 距離克服が鍵

根岸Sを制したレモンポップは距離克服が鍵だ。武蔵野Sで鼻差2着に負けた時は、逃げたバスラットレオン(3着)を早めに捉えにいってギルデッドミラーの目標になった。仕方のない面もある。マイルがプラスとは思わないが、仕掛けのタイミングひとつで1400メートルと同じようなパフォーマンスは発揮できる。

■ショウナンナデシコ 距離短縮歓迎

東京大賞典6着から巻き返しを狙うショウナンナデシコは、距離短縮がいい方に出そうだ。前走も残り100メートルまで上位争いしていたが、ゴール前でバッタリ止まった。【3 0 0 2】と得意のマイルに替わるのは歓迎。6歳牝馬で大きな上積みは疑問だが、前で勝負できる先行力は魅力。軽いダートなら粘り込みも。