茨城県行方市のミッドウェイファームで東京ダービーに向けたミックファイアの最終追い切りを見届けた渡辺和雄調教師(51)は千葉県大多喜町に車を走らせた。「オーナーに『まけしらず』というお酒を送りたくて」。城めぐりが趣味の師。大多喜城を訪れた時、その日本酒と出会い、羽田盃の前日に飲んだという。

名前は城主の本多忠勝が参加したすべての合戦でかすり傷ひとつ負わずに勝利したことに由来。その御利益か、ミックファイアは無敗の羽田盃馬となり、その話を聞いた星加オーナーもダービーに向けて飲もうとなったという。「ある程度やることをやってしまうと、あとは何かに頼りたいというか。競馬は運がすごく大事なので」。まさに負け知らずの5戦5勝。無敗の東京ダービー馬となった。

衝撃的な強さでの2冠達成から一夜が明けた8日、師にミックファイアの様子を聞くと「至って順調。爪も大丈夫。ダメージも羽田盃の時より全然少ない。今回は内臓ができていた分、上がってきても息が乱れていなかった。今朝もケロッとしていた」という。ジャパンダートダービーで無敗の3冠達成か。「次も『まけしらず』を飲まないわけにはいかないですね」。【牛山基康】