香港4歳シリーズを締めくくる香港ダービー(芝2000メートル)が24日(日曜)、シャティン競馬場で行われます。

昨年の香港ダービーはシリーズ初戦の香港クラシックマイル(芝1600メートル)を制したヴォイッジバブルが、ゴール前3頭横一戦の混戦を制して2冠を達成。2冠目の香港クラシックカップ(芝1800メートル)の勝ち馬スーパーサニーシングは8着に終わりました。ヴォイッジバブルは、今年1月21日のG1香港スチュワーズカップ(芝1600メートル)でG1ウイナーのカリフォルニアスパングルやロシアンエンペラーを一蹴。2月25日のG1香港ゴールドカップ(芝2000メートル)でもロマンチックウォリアーの首差2着するなど、着々とトップホースへの道を歩んでいます。

そして迎えた今年の香港4歳シリーズは、その初戦として2月4日に行われた香港クラシックマイル(芝1600メートル)、2冠目3月3日の香港クラシックカップ(芝1800メートル)とも、単勝1倍台の断然人気に推されたヘリオスエクスプレスが制して2017年ラッパードラゴン、2020年ゴールデンシックスティに次ぐ史上3頭目の香港4歳3冠に王手をかけています。

今年の香港ダービーは以下の14頭で争われます。


枠番(馬番)馬名 騎手

 1(14)スターマック K・ティータン

 2(12)エリプティカル B・アヴドゥラ

 3(4)チルチビ C・チャウ

 4(11)カーインジェネレーション A・アッゼニ

 5(8)ビューティークレッセント A・バデル

 6(13)シンプルヘッジ A・アムラン

 7(9)スピードドラゴン L?ヒューイットソン

 8(10)アンビリーバブルH・ベントレー

☆9(6)チャンチェングローリー W・ビュイック

▲10(7)マッシヴソヴリン Z・パートン

△11(3)ヘレンフィーリング J・マクドナルド

○12(5)インシュード R・ムーア

◎13(2)ヘリオスエクスプレス H・ボウマン

△14(1)ギャラクシーパッチ B・シン

4歳シリーズ初戦の香港クラシックマイルの2着はヘレンフィーリングで、着差は1馬身3/4。2戦目の香港クラシックカップは2着チャンチェングローリーで、その差は短頭差という際どいもの。ヘレンフィーリングは6着に後退しました。

ヘリオスエクスプレスの父はG1高松宮記念に参戦するビクターザウィナーと同じトロナド(その父ハイシャパラル)。母パリテキサス(その父ヒンチンブルック)はオーストラリアで芝1000メートルから1400メートルのレースに3勝しています。血統だけを見ると距離に壁を感じさせますが、1800メートルの前走は直線で前が詰まって外に切り替えるロスを克服した勝負根性、スタミナとも一枚上の印象を与えています。2冠はともに1番枠で、13番枠が少し気になりますが、他の有力馬も外枠を引き当てており、地力で克服可能でしょう。これまで3頭のダービー馬を育てたジョン・サイズ師はエンシュード、シンプルヘッジとの3頭出しで臨みます。

前走の結果からはチャンチェングローリー(その父モールスピリット)が対抗候補の筆頭に挙げられていますが、こちらはダービーがシーズン9戦目とあって、上がり目はあまり感じられません。ならば、この時に3着したインシュード(その父レモンドロップキッド)の方に魅力が感じられます。これまで6戦3勝で勝ち星はすべて1800メートル以上。狙いは明らかにここでしょう。前走から手綱を取るライアン・ムーア騎手は、23日(土曜)のオーストラリアでの騎乗後に香港入りすることになっています。

4歳三冠とは別路線を歩んできたギャラクシーパッチ(その父ワンドジナ)は今月10日のG1クイーンズシルヴァージュビリーカップ(芝1400メートル)で年長馬相手に健闘。カリフォルニアスパングルの2着しました。これによりレーティングはヘリオスエクスプレス(102)を上回る103となっています。ここは600メートルの距離延長と鬼門の大外枠克服が鍵となりそうです。

最大の惑星はダービーが香港2戦目となるマッシヴソヴリンです。アイルランドで2、3歳時に5戦2勝、2着2回の成績を引っ提げて香港に移籍したマッシヴソヴリンは、父が短距離得意のノーネイネヴァーでありながら、香港初戦となった今月3日の2000メートル戦(14頭立てのハンデ戦)では最後方追走から直線だけでごぼう抜き。ゴール前では鞍上のザカリー・パートン騎手が手綱を緩めながら2着に3馬身1/4差をつける楽勝で衝撃のデビューを飾りました。2021年の愛ゴフスセールで62万ユーロ(約1億100万円)もした高馬で、マッシヴソヴリンの全妹となるラブコメディは日本に輸入されて昨年12月に新馬勝ちしています。父はスピード一色ですが、母スウィートチャリティは芝1600メートルから2100メートルで3勝を挙げ、祖母も1800メートルと2000メートルで優勝。近親にも長距離馬が目立って母系からスタミナを譲り受けています。(ターフライター奥野庸介)

※成績などは2024年3月21日現在

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