牡馬クラシック第1弾「第59回皐月賞」が中山競馬場で行われ、単勝5番人気のテイエムオペラオー(栗東・岩元)が直線鮮やかに差し切って快勝した。デビュー4年目の和田竜二騎手(21)はG1初勝利で、これは皐月賞勝利ジョッキーとしては最年少記録(従来は郷原洋行の23歳=67年リュウズキ)。1、2番人気のアドマイヤベガ、ナリタトップロードは6、3着に沈み、ダービーを頂点とするクラシック戦線の主役の座は完全に逆転した。
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これが時代の流れだ。和田竜二は、デビューわずか3年1カ月。先週の桜花賞を勝った福永祐一(22)ら「花の12期生」といわれる最強世代からまた1人、21世紀のスターが出現した。
桜花賞の福永優勝には「見ていてシビれた」和田。その福永は17日の落馬事故で負傷、入院し復帰のメドは立っていない。「早く元気になってくれることを願ってます」。自らが刺激を受けてこの皐月を頑張れたように、今度は自分の活躍が病床の友を励ますことができれば、との思いもあった。
若さに似合わぬ、ベテラン並みのふてぶてしい騎乗で快挙を成し遂げた。スタート後、いつになく行きっぷりの悪い愛馬の動きを感じながら「行かないなら後ろからでいいや」と度胸一番、待機策を決め込んだ。道中は後ろから2、3番手。「バタバタしても仕方ない。最後の脚はある」。焦りは全くなかった。
向正面でようやく行き脚がつくと、3角では人気のアドマイヤベガ、ナリタトップロードを内に見てジワジワと前進。4角でベガに外へはじかれたが、これが幸いした。馬が怒った。直線は馬群の大外を突き進み、和田のステッキにこたえてライバルたちを、並ぶ間もなく差し切った。自然に右腕が上がった。
師匠の岩元市三師(51)にもうれしい勝利だ。「よく(道中)我慢した? いやいや、行けんかっただけや。好騎乗……とまでは言えんな。ま、ワシが(騎手として)乗っていたころよりはマシかな」と爆笑を誘う。それでも「たくさん乗せてもらった経験が生きた」(和田)というように、大レースでもベテラン騎手には目もくれず、粘り強く弟子に乗せ続けた同師の愛情が、師弟ともどものクラシック初勝利として実った。
岩元師も、騎手時代に布施正師(引退)に厳しくしつけられると同時に、ほとんどの馬に乗せてもらいながら技術を磨いた。苦労を重ねた末、バンブーアトラスでダービーを制した(82年)のは34歳の時だった。この経験から、和田にも礼儀などを厳しく教えるかたわら「騎手は数を乗らなくては成長しない」と、馬主を説得、ほとんどの手綱を任せてきた。
カイバ食いの心配のある馬が初の長距離輸送をクリアしたことは大きい。和田は「距離延長はいい。今の状態を維持できればダービーも楽しみ。負けないつもりで乗りますよ」。さあ、次は最年少ダービージョッキーへの挑戦だ。【栗田文人】
◆テイエムオペラオー▽父 オペラハウス▽母 ワンスウエド(ブラッシンググルーム)▽牡4歳▽馬主 竹園正継▽調教師 岩元市三(栗東)▽生産者 杵臼牧場(北海道浦河郡浦河町)▽戦績 6戦4勝▽総収得賞金 1億9236万8000円▽主な勝ちクラ 99年毎日杯(G3)
(1999年4月19日付 日刊スポーツ紙面から)※表記は当時

