武豊騎手(55=フリー)が今秋フランスで行われる凱旋門賞(G1、芝2400メートル、10月6日=パリロンシャン)に騎乗することを11日、札幌競馬場で明らかにした。コンビを組むのはアイルランドのジョセフ・オブライエン調教師(エイダンの長男)が管理するアルリファー(牡4、父ウートンバセット)。キーファーズ代表の松島正昭氏が同馬のオーナー、アルリファーシンジケートと共同所有することになり、凱旋門賞での騎乗が実現することになった。

2歳時にG1ヴィンセントオブライエン・ナショナルSを制した馬。3歳シーズンは休養が長く、なかなか勝利を挙げられなかったが、今シーズン3戦目だった7月のエクリプスSで英ダービー馬シティオブトロイの2着に好走すると、日本時間の11日深夜に行われたドイツのG1ベルリン大賞は5馬身差で圧勝をおさめた。ジョセフ・オブライエン調教師はシーズンの最大目標を凱旋門賞と明言しており、大手ブックメーカー各社は同馬の単勝前売りオッズを15~17倍に設定している。

武豊騎手は「(7月)セレクトセールの時にクールモアとキーファーズの方からお話を聞いていました。もともと何%か持たれていたみたいだけど、(松島正昭代表から)『もし共同所有することになったら乗ってくれるか』と軽いオファーがありました。先週あらためてお話をいただき、順調なら凱旋門賞に使いたいと聞いています。ビッグオファーだと思いますし、うれしいですね」と意気込みを語っている。

凱旋門賞の騎乗が実現すれば、22年ドウデュース(19着)以来、2年ぶり11度目となる。JRA歴代最多勝を更新し続けるなど数々の新記録を打ち立ててきたレジェンドがいまだ成し遂げていないのが自身も「夢」と語る凱旋門賞制覇だ。

3歳だった昨年はわずか2戦でいずれも2着。英愛クラシックやG1競走を走ることなく、不本意なシーズンとなったアルリファーだが、その秘めた実力を隠しきれなかったレースがある。ちょうど1年ほど前、23年8月15日にフランスのドーヴィル競馬場で行われたG2ギョームドルナノ賞。4分の3馬身差2着に敗れたのだが、勝った馬の名前は「エースインパクト」。デビューから6戦無敗で仏ダービー、凱旋門賞を制し、引退した名馬が現役生活で最も苦戦した(着差をつけられなかった)相手がアルリファーだった。初めての2400メートルだったベルリン大賞の圧勝を見せつけられると…。武豊騎手とキーファーズの松島正昭代表の挑戦にワクワクする気持ちを抑えられない。【井上力心】