牝馬2冠達成だ! 桜花賞馬エンブロイダリー(森一)が、クリストフ・ルメール騎手(46)を背にG1・2勝目を飾った。好位から向正面で動くと、直線は2番手から力強く抜け出した。桜花賞との牝馬2冠は07年ダイワスカーレット以来18年ぶりとなった。1番人気のオークス馬カムニャック(友道)は16着に敗れた。
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「YES!」。ルメール騎手が腹から声を出した。ゴール後にまずは左手でガッツポーズ。ウイニングランでは強く握った右手を何度も何度も突き上げた。「この馬でG1を勝つことができて本当にうれしいです」。名手がいつも以上に感情を出すほど。エンブロイダリーは桜花賞馬から、“牝馬2冠馬”になった。
好位外6番手から、向正面で2番手まで押し上げた。「前に壁がなかったし、ペースも落ちたから上がっていった」。位置を上げながら、リズムを崩さずピタッと折り合う。この熟練の手綱さばきは、17年ダービーのレイデオロの時に見せた神騎乗のよう。「リラックスできていたし、最後また頑張りましたね」。そのアクションに応えるように、愛馬も力を見せた。
騎手、調教師ともに悔しさを乗り越えた。鞍上はオーストラリア遠征のため、桜花賞は騎乗できなかった。「桜花賞を見ててすごくスピードを感じた。エンブロイダリーと一緒にG1を勝ちたかったね」。それまで4戦連続でコンビを組んできたからこそ、自分の手でG1を。その思いを秋の大一番でかなえた。
管理する森一師も雪辱を果たした。オークスは9着。周囲には「距離が長かったから仕方ない」という人も多かったが、師は「調整次第ではなんとかできたんじゃないかなと今でも思うんです」と漏らしていた。あの悔しさはもう味わいたくなかった。落ち着きを保てるように、精神面を注視しながら調整。最高の結果につなげてみせた。
次は同世代の牡馬や古馬との対戦が待っている。昨年のチェルヴィニアに続く連覇で、秋華賞最多4勝目を手にしたルメール騎手は「またG1で結果を出せると思う」と見込む。次走は未定も、未来は明るい。牝馬2冠のタイトルを掲げ、さらなる強豪が待ち受ける旅路についた。【藤本真育】
◆エンブロイダリー ▽父 アドマイヤマーズ▽母 ロッテンマイヤー(クロフネ)▽牝3▽馬主 (有)シルクレーシング▽調教師 森一誠(美浦)▽生産者 ノーザンファーム(北海道安平町)▽戦績 8戦5勝▽総獲得賞金 3億3833万1000円▽主な勝ち鞍 25年クイーンC(G3)、桜花賞(G1)▽馬名の由来 刺しゅう。母名より連想

