現役時代は阪神一筋22年、4番や代打の神様で活躍した日刊スポーツ評論家の桧山進次郎氏(55)が試合をチェック。腰痛からの復帰した第1打席で、いきなり左翼席へ3ランを放った阪神森下翔太外野手(24)の打撃を解説した。【聞き手=松井清員】

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森下はホームラン前のファウルを見て、腰はもう大丈夫なんだと感じました。内角への真っすぐでしたが、腰が痛いとあれだけクルっと回転できません。そして続けざま、インハイの厳しい真っすぐを完璧にとらえて左翼席に運びました。

昨年の前半戦あたりなら、どん詰まりの小飛球になっていたコースです。でも夏以降バットを指1本分、短く持ち、スイングがコンパクトになって内角をさばけるようになった。良い形を持続できていることを確認したでしょうし、もう内角は怖くないんじゃないですか。成長と進化を感じましたし、他球団は厳しく攻めてもスタンドまで運ばれると、かなりの脅威を感じた打席になったはずです。

指1本でも短く持つと、飛距離が落ちる印象がありますが、力がある選手はそれほど変わりません。実際僕もそうでしたし、王貞治さん、長嶋茂雄さん、野村克也さん、金本知憲選手、そして大谷翔平選手でも短く持つことがあります。コンパクトに振れる分、確実性が上がり、角度をつけて芯にさえ当たれば飛んでいく。2年連続2軍落ちも味わった森下も、厳しい攻めに対応するために、研究と工夫を重ねてそこに行き着いたのだと思います。

精神面でも、昨年のプレミア12で4番を任され、結果を残したことで自信をつけたでしょう。その姿を見た藤川監督も「4番いけるんだ」となり、3番佐藤輝、4番森下、5番大山の新オーダーが作られていったのだと思います。森下にとって、後ろに4番経験豊富で勝負強い大山がいるのも心強い。自分がダメでもかえしてくれる、と。

佐藤輝も状態が良いし、貪欲に次の塁を狙う積極走塁で4番につなぐ意識を見せている。いろんな壁にぶつかるかもしれませんが、森下が4番で全試合出場するようなら、個人成績はもちろんチーム成績も上がっているはず。楽しみな1年になりそうです。(日刊スポーツ評論家)

中日対阪神 1回表阪神1死一、三塁、森下は左越え3点本塁打を放つ(撮影・前田充)
中日対阪神 1回表阪神1死一、三塁、森下は左越え3点本塁打を放つ(撮影・前田充)
中日対阪神 1回表阪神1死一、三塁、左越え3点本塁打を放った森下(左)とベンチでタッチする藤川監督(撮影・加藤哉)
中日対阪神 1回表阪神1死一、三塁、左越え3点本塁打を放った森下(左)とベンチでタッチする藤川監督(撮影・加藤哉)