どちらに転ぶか分からない“流れ”をせき止めたのは中野拓夢の好守だったかもしれない。一時は7点の大量リードだったゲームが3点差に迫られ、迎えた8回だった。ここで登板した6番手・及川雅貴が好調な今季の投球ができない。不運な内野安打や2四球などで乱れ、1失点。なおも2死一、二塁のピンチを迎えたのである。

ここで元猛虎戦士・板山祐太郎の打球は痛烈に一、二塁間を襲う。だが、この打球にセカンド中野拓夢がダイブ。ギリギリでキャッチして板山を一塁に刺すのだ。抜けていればどういう展開になっていたか。そう思わせる場面だろう。これでチェンジとなり、拍手する及川の様子がプレーの大きさを物語った。

このカードも勝ち越し、優勝マジックはついに「4」となった。順調な展開の中でさほど目立たないが現在、中野の状態は1つの焦点だろう。8月31日の巨人戦(甲子園)の9回、守備の際に相手選手と交錯し、交代している。試合後に「大丈夫!」と話し、最悪の事態は免れた様子だった。

だが、このバンテリンドームに来て、2日の初戦は大事を取ったのか代打で出場したのみ。結果は左飛だった。前日3日は近本光司を休養させるため「1番二塁」でスタメン。4打数無安打だった。そして、この日も5打数無安打に終わるのだ。中野に5打数まわり、ヒットが出なかったのは今季これが4試合目だ。過去3試合はこういう感じだった。

7月19日 巨人戦(東京ドーム) 4-0  

8月2日 ヤクルト戦(神宮) 5-1

8月9日 ヤクルト戦(京セラドーム大阪) 6-2

すべて阪神が4点差で勝利している。そしてこの日も7-5と勝利し、中野の無安打が影響することはなかった。もちろん中野の場合は打つだけでなく、冒頭に書いたように守備でも大きく貢献している。それでもその打撃は必要だろう。

「試合に出られるという自分の判断もありますし。そういう状況だったので出ようかなと思いました。切り替えて明日に向けて頑張ります」。試合後に中野はしっかり話した。

中野の守備、そして打撃は優勝からCS突破、そして日本一へ向かって突き進んでいくために必要だ。首位打者の可能性もある。ここは完全復活して優勝決定に華を添えたいところだ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)