マネジャーもバットを握っている! 浜松湖東(静岡)の池田麗花(3年)は、全国的にも珍しいノックを打つ女子マネジャーだ。元ソフトボール選手で、練習や試合前に内外野に的確な打球を放ち、守備力向上をサポートしている。

 夕暮れの浜松湖東グラウンドに、池田の小気味良い打球音が響く。約10分間の内野ノックを終えると、充実した表情で話し始めた。

 「大変ですが、最初よりはうまくなったと思います。バットの芯で捉えれば、力を入れなくても飛ぶのは、ソフトと同じです」

 池田は瑞穂小3年からソフトボールを始め、開成中では4番捕手で副将を務めた。東海大会出場も果たし、複数の高校から勧誘があったが、ソフトボール部のない浜松湖東に進学。興味のあった野球部のマネジャーになった。そして、選手のさまざまなサポートをしながら、自主練習時にはノックを打つこともあった。その様子が高林良洋監督(52)の目に留まり、昨年11月から、練習でノックを任されるようになった。

 当初は、外野まで打球を飛ばすのも大変だったというが、マネジャー業務の間に自主練習を重ねて徐々に上達。今春の西部地区大会では、ユニホーム姿で試合前の外野ノッカーを務めた。選手経験のある男子マネジャーがノックを打つことはまれにあるが、女子マネジャーが公式戦で試合前ノックを打つことは全国的にも異例。高林監督は「あれだけ打てれば、ギリギリ合格点です」と評価しており、池田自身も「夏は内野ノックを打ちたいです」と笑顔で話した。

 県大会まで残り1カ月強。チームの守備力向上にバットで貢献してきた池田は「緊張せず、自分たちらしいプレーを全力でやりきってほしいです」と選手にエール。最後まで気持ちのこもったノックで、サポートしていく決意だ。【鈴木正章】