日本文理(新潟)は金沢学院(石川)に7-1で勝った。最速150キロの剛腕エース鈴木裕太投手(3年)が先発して6回を投げて8奪三振の快投。被安打は3本で、失点も暴投で許した1点だけだった。打たれての失点ではなかっただけに、北信越で自信を深めた。関根学園は福井商に5-2で快勝。北信越大会初勝利を決めた。

 エース鈴木は主審のクセを打席で冷静に観察した。先攻で迎えた初回。1死一、二塁で4番打者としての打順が巡ってきた。「審判のストライクゾーンが狭い」。相手投手に6球を投げさせ、見逃し三振に終わったが、その裏からのマウンドで生かした。「初回は真ん中を中心に投げた」と、この日の最速145キロの直球などで押しまくり、2アウトを空振りの三振で仕留めた。

 「直球の制球が良くなかった」と鈴木は4四死球を与えたが、集中は途切れなかった。スライダー、カーブの変化球でカウントを整え、6回8三振につなげた。「(決勝までの)4連戦を頭に入れて(途中から)ペース配分しているのかな、と思った」と鈴木崇監督(37)は話したが、実情は違った。「ストライクが取れず、抑え気味に投げていたら腕が縮んでしまった」とエースは、自分自身と格闘していた。しかし、動揺の色は決して見せなかった。エースの風格がマウンドで漂っていた。

 5回に失点した場面は2死から連続四死球と、三遊間への安打を打たれて2死満塁。暴投で1失点した。しかし、鈴木は前向きだった。「県大会を通して打たれて(点を)取られたことはない。しっかり投げれば、点を取られないことを証明できている」。

 4番打者としては5打数2安打2打点。6回2死一、三塁のシーンに打った遊撃への内野安打で俊足ぶりを見せつけた。小針中時代は新潟シニアに所属しながら学校では陸上部員。全日本中学通信陸上の新潟大会3年生100メートル決勝で11秒61を出して6位に入ったスプリンターだ。「足には自信がある」。投げて、打って、走る。鈴木の北信越大会は始まったばかりだ。【涌井幹雄】