この勢いなら優勝も夢ではない! ヤクルトが大勝で単独首位を守った。先発石川雅規投手(35)が、7回4安打1失点で11勝目。本拠地・神宮では09年の館山以来となる8勝目を飾った。好投を援護するように、打線も序盤からリードを奪い、計9得点で大勝した。重圧のかかるシーズン終盤に投打がかみ合い、強さを見せつけた。連勝で、試合がなかった2位阪神とのゲーム差を1に広げた。

 崩れるわけには、いかなかった。8点リードの7回。石川は2死一、二塁からロペスに左前適時打を許した。「ここまで来たら、内容ではなく結果が全て。勝てばそれでいい」と言い聞かせた。なお2死一、二塁。ピンチは続くが、冷静に打者と向き合った。次打者のバルディリスを外角低めに制球されたスクリューで中飛。「チームが勝つことが一番だった」。自身4連勝で神宮8勝目を飾った。

 試合前まで、チームは2位阪神と0・5ゲーム差。3位巨人とも1・5ゲーム差と切迫していた。明日18日からは巨人、阪神、広島と上位チームなどとの7連戦が始まる中、チームは「優勝」しか見ていない。試合前のクラブハウス内で、冗談交じりにこんな言葉が飛び交っていたという。

 「(セ・リーグは)だんご状態だから(優勝)マジックは点灯しないけど、残り15試合に全部勝てばいい。マジック15だね」

 まれに見る混戦だけに日々、順位やゲーム差が気になる。だが、すべて勝てば優勝できる。シンプルな考え方にムードは盛り上がった。石川は仲間の思いを背負ってマウンドに立ち、“マジック14”にしてみせた。

 石川は勝つ、という2文字にこだわり続けた。2月上旬、沖縄・浦添の春季キャンプ中に左足関節を捻挫。全治1週間程度の中、翌日からキャッチボールを再開した。「うかうかなんか、していられない。少しでも隙を見せたら、すぐにレギュラーなんか取られてしまう」。さらに同月14日、全体練習は終わり、暗がりのブルペン。同じ左腕で、開幕ローテ争いをしていた後輩の村中に、投球フォームを指導していた。「自分も大事だけど、チームとして上にいくことはもっと大事」。自分に厳しく、人に優しい男。常にチームの勝利を考えている。石川の左腕が、14年ぶりの優勝へ、また1歩近づけた。【栗田尚樹】