広島2年目の石原貴規捕手(23)が、プロ1号を含む4安打2打点と躍動した。

DeNA戦(東京ドーム)に「8番捕手」で先発。8点を追う5回に先頭で坂本の変化球を右翼席に放り込んだ。前日19日の中村奨に続いて若い力がプロ初アーチを描いた。ただ、マスクをかぶった2試合で21失点しただけに笑顔はない。反省をバネに守備でも存在感を出していく。

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石原が悔しさを込めたバットを振り抜いた。8点差とされた直後の5回、先頭打者で打席に入った。「失点した後の回の先頭だったので、とにかく塁に出ようと」。カウント2-2から坂本の外角低めチェンジアップを逆方向へはじき返すと、打球は右翼席へ届いた。プロ19試合目、41打席目での初本塁打。「率直にうれしい。でも守備が頭の中で割合を占めている。勝っていればもっとうれしかった」。当然ながらメモリアル弾にも笑顔はなかった。

この号砲を皮切りに、打線はこの回打者一巡の猛攻で4点を返した。6点を追う9回。3点を返し2死一、二塁で、石原は三嶋の初球を捉えて中前適時打とし、2点差に迫った。2回は中前打、8回にも左安打と右へ左へ打ち分け、プロ初の4安打となった。

攻撃では4安打2打点と持ち味を発揮した一方、守備で課題を残した。2試合連続で先発マスクを任され、強力DeNA打線に合計21失点。投手陣をうまく導けなかった責任を感じていた。「投手に対して申し訳ないなという気持ちがあるし、自分が出したサインで打たれている。そこは反省をしないといけない」と悔しさをにじませた。

新型コロナウイルスの感染から復活し、14日に1軍に復帰した。正捕手会沢が故障で離脱し、首脳陣に守備力を買われてスタメン起用されているだけに、石原は「使っていただいているのに、申し訳ないというか、期待に応えられていない。もっと頑張らないといけない」と引き締めた。佐々岡監督は「守りを期待しての起用。リード面でももっともっと勉強しないといけない」と奮起を促した。

失敗を糧に次戦につなげるしかない。「打者に対しての入り方やボールの使い方とか。配球や頭の部分でしっかりもっと勉強して、整理して(試合に)入りたい」。攻守の要となるべく、鍛錬を続けていく。【古財稜明】

◆石原貴規(いしはら・ともき)1998年(平10)2月3日生まれ、兵庫県出身。創志学園を経て、天理大4年春の阪神大学リーグでは首位打者を獲得。19年ドラフト5位で広島入団。2年目の今季3月28日中日戦で1軍戦初出場。今季推定年俸は700万円。173センチ、85キロ。右投げ右打ち。