あらためてスコアブックを見返した。

12日に東京ドームで開催された巨人-阪神2回戦。3年目でプロ初勝利を目指した阪神の24歳村上頌樹(しょうき)は計84球のうち、40球もの直球を投げ込んでいた。実に約48%。どちらかというと変化球とのコンビネーションで打ち取るイメージが強かっただけに、ちょっと驚いた。

7イニング完全投球で沸かせた投球内容。確かに巨人打線が直球を打ちあぐねている印象はあった。この日の最速は148キロと決して特筆すべき数字ではない。にもかかわらず、差し込まれてファウルになる、空振りする場面が目立っていた。

なぜ、あれだけ真っすぐで押せたのか。

試合後、好リードした坂本誠志郎に問いかけて、合点がいった。

「もともと真っスラの特徴がある。このクセ球を向こうがちょっと嫌そうにしていたので。『嫌がっているなら行っちゃえ』と、割り切っていった感じです。相手の反応を見ながら、対応されたら(配球を)変えていかないといけないとは思っていましたけどね」

結果、変化球の割合はツーシームが19球、カットボールが16球、フォークが7球、カーブが2球。虎バッテリーは7回まで直球主体の配球を貫いた形だ。

打てそうで打てない独特のクセ球は次回も快投を後押しできるか。また楽しみな注目ポイントが増えた。【佐井陽介】