ソフトバンク近藤健介外野手(29)が「日本生命セ・パ交流戦」のヤクルト戦(神宮)で不屈のタイムリーを放った。腰の違和感により今季58試合目で初めてスタメンから外れたが、2点を追う5回無死一、二塁で代打適時打。頼れるバットマンがナインを激闘に持ち込んだ。試合は延長10回に今宮が勝ち越し打を放ち、開幕以来の同一カード3連戦3連勝。貯金は今季最多「8」となり、優勝を争う交流戦は勝率5割以上が確定した。

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今宮の打球が左翼線に弾んだ。東都の鷹党は神宮の夜空に叫びまくった。7-7の延長10回1死満塁。ヤクルト6番手、清水のフォークをとらえた。ソフトバンクが2点を勝ち越し。5回に自身の失策で一時逆転を許していたが、今宮が汚名返上の一打だ。直後の守りではモイネロが0封。試合時間4時間47分の死闘を制した。

不屈の男が勝利への起点だった。腰の違和感により今季58試合目で初めてスタメンから外れた近藤が、5回に代打タイムリー。1-3の無死一、二塁で、サイスニードから右前適時打を放った。「一振りに集中しました。ランナーをかえすバッティングができて良かったです」。不屈の男の一打で、この回一挙3得点を挙げた。

前日14日の同戦で患部に違和感を覚え、6回の守備から途中交代した。一夜明け、藤本博史監督(59)はこの日「本人が行けるんやったら行く。行けそうな感じはある。動いてみて決めます」と話していた。結局大事を取ってベンチスタートだったが、ここぞの好機で「最強の切り札」がきっちり仕事をした。近藤は8試合連続安打となり、交流戦打率は断トツの4割3分4厘に上昇した。

今季の延長戦は7戦5勝2分。選手層の厚さを見せつけ、23年は負け知らずだ。さらに開幕カード以来の同一カード3連戦3連勝。ヤクルトとの雨中決戦を制し、貯金は今季最多の「8」まで積み上げた。交流戦は9勝6敗とし、残り3試合を残して勝率5割以上が確定した。

16日からはセ・リーグ首位を走る阪神3連戦。敵地甲子園では、直近10試合で8勝2敗と得意にしている。虎狩りで交流戦9度目の優勝へ。鷹がノリノリだ。【只松憲】

▽ソフトバンク今宮(10回1死満塁で勝ち越しの2点適時二塁打)「自分のミスで点をやってしまってチームに迷惑をかけた。何とか1本打って、チームを勝たせたかった」

▽ソフトバンク藤本監督(5回に代打で近藤が適時打)「近藤だけじゃなく、野村大樹も川瀬もいいところで打ってくれた。明日から(近藤はスタメンで)いけるんじゃないですか」

▽ソフトバンク栗原(4回2死三塁で適時二塁打)「とにかくランナーをかえそうと集中しました。タイムリーとなって良かったです」

▽ソフトバンク上林(6回無死一、三塁で中前適時打)「追い込まれてしまいましたが、とにかくコンタクトすることを考えました。ランナーをかえすことができて良かったです」

○…1軍に再昇格したソフトバンク川瀬が即結果を残した。1点を追う6回1死一、二塁から代打登場。ヤクルト木沢の初球を左前へポトリと落とし、一時は同点のタイムリーを放った。「積極的にスイングを仕掛けることを考えました。その結果、いいところに飛んでくれた」。4日の広島戦で左膝負傷し、内側広筋筋挫傷と診断されていた。約1週間の2軍調整からの復調を印象づけた。