阪神の守護神岩崎優投手(32)が、10年目で悲願の初タイトルとなるセーブ王に輝いた。3点リードの9回に登場。先頭秋山にいきなり右翼線三塁打を許し、上本の内野ゴロで2点差に。なおも1死一、三塁から坂倉の内野ゴロで1点差まで迫られたが、最後は小園を高めの直球で空振り三振に斬り、左拳で小さくガッツポーズ。9試合連続セーブで35セーブ目を挙げ、タイトルを確定させた。

「チームのおかげです。相手も必死に来るところで勝ちで締められた。今日(のセーブ)は価値があるんじゃないかなと思います」

長年ブルペンを支えてきたが、意外にもタイトルとは無縁だった。「任されたところでやるだけです」とシーズン中の配置転換にも柔軟に応じてきた。今季もセットアッパーから始まり、湯浅の離脱で5月から代役守護神。6月末から8月末にかけては自己最長の23試合連続無失点を記録するなど、18年ぶりのリーグ優勝に大きく貢献した。

クローザーの重圧を受ける日々を送りながらも、常に周りに気を配り続けた。「後から言うよりも今起こっていることを伝えるのが一番分かりやすい」と石井、桐敷ら後輩へ、登板直前に「この選手は高さだけ」「コースだけ気をつけて」とワンポイントアドバイスを毎回送り、サポート役もこなした。「自分も(先輩に)そうして教えてもらったので」。伝統を引き継ぎ、成績、言動でブルペンを引っ張った。セ界最強守護神として、今度は「日本一」の栄光をつかみ取る。【古財稜明】

▼岩崎が初の最多セーブを決めた。阪神の左腕投手がセ・リーグのセーブ数最多だったのは、77年山本和行以来46年ぶり2人目。なお、04年までは「最優秀救援投手」として、セーブ数に救援勝利数を加えた「セーブポイント」が表彰の基準だった。セーブ数だけでタイトル表彰するように変わった05年以降では、21年スアレス以来2年ぶり5人目、8度目。左腕では初だ。