阪神は3日、高山俊外野手(30)、北條史也内野手(29)、板山祐太郎外野手(29)、山本泰寛内野手(29)、二保旭投手(33)、渡辺雄大投手(32)、小林慶祐投手(30)、育成選手の望月惇志投手(26)の8選手に来季の契約を結ばないことを通告したと発表した。望月以外の7選手は現役続行を希望。18年ぶりの優勝に沸く陰で、一時代を彩った猛虎ナインが、タテジマに別れを告げる。

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甲子園で虎党の大声援を浴びた高山と北條が、来季の構想から外れた。18年ぶりの優勝に沸く阪神で、非情の戦力外通告が行われた。高山は青のスーツ姿で甲子園隣接の球団事務所に足を運んだ。「キャンプから今年にかける気持ちは強かったけど、なかなか結果が出なかった。本当にいい思い出も、悔しい思い出もあります」とさっぱりした表情で思いを明かした。

明大から15年ドラフト1位で阪神入団。1年目は当時の球団新人最多の136安打を放ち、01年の赤星憲広以来、野手では球団15年ぶりの新人王に輝いた。だが、その後は打撃不振が長引き、もがき続ける日々が続いた。

8年目の今季は岡田監督からも名前が挙がり、キャンプは1軍発進。だがオープン戦は1安打で、同じ外野手の森下や前川らにのみ込まれる形となった。2軍戦は92試合に出場し、打率2割4分9厘、9本塁打、37打点。「結果に結びつかなかったのは悔しいけど、いろいろとレベルアップはできた」。1軍出場は2年ぶりの0に終わったが、一定の手応えをつかんだ中で構想外を告げられた。

ムードメーカーの北條も世代交代の壁に阻まれた。「少しは予想はしていて、頭が真っ白ということではない。11年お世話になった球団には感謝しています。僕のタオルを持って来てくれたファンを見て頑張れた」としんみり振り返った。

12年ドラフト2位で阪神入団。高卒4年目の16年は122試合に出場し、フルイニング出場が止まった鳥谷から遊撃を奪いかけた。だが、その後は伸び悩み、今季は9年ぶりの1軍出場0に終わった。高校時代に甲子園で春夏連続で決勝を戦い、ドラフト同期入団した藤浪にも戦力外を報告。「刺激を受けて頑張ったけど、ダメだったと。ポストシーズン頑張って」。右腕からも「連絡ありがとう」と返事をもらったという。

2人は甲子園と鳴尾浜でチームメートらと握手を交わした。今後について高山は「決まってないけど、現役でやりたい気持ちはもちろんある」ときっぱり。北條も「今、自分の中では現役希望です」と前を向いた。11月15日の12球団合同トライアウト(鎌ケ谷)受験も視野にリスタートを期す。【三宅ひとみ】

◆高山俊(たかやま・しゅん)1993年(平5)4月18日生まれ、千葉県出身。日大三(東京)3年夏の甲子園で優勝。明大に進み、通算131安打は東京6大学最多。15年ドラフト1位で阪神入団。1年目の16年に当時の球団新人記録を更新する136安打を放ち、新人王を受賞した。181センチ、87キロ。右投げ左打ち。

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