中日ドラフト1位金丸夢斗投手(22)が8回3失点でプロ初勝利を挙げた。10度目の先発で阪神打線とは初対戦。2回に中川、4回に佐藤輝にソロを浴びたが、直球を軸に攻めの投球を続け、ようやく勝利をつかんだ。
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金丸の両親も初勝利までの長旅が終わった。父・雄一さん(49)、母・淳子さん(48)は5月5日デビュー戦のバンテリンドームから東京ドーム→神宮→みずほペイペイドーム→ベルーナドーム→横浜→山形→名古屋→名古屋→名古屋と息子の初勝利の瞬間を見るためにすべてスタンドに駆けつけていた。
雄一さんは「今思うといろんな球場に見に行くことができたプレゼントみたい」と笑った。井上一樹監督(54)と自分たちに向かって手を振る息子に「たくましくなった。ええピッチャーになった」と涙が止まらなかった。
父雄一さんは息子と同学年で高校3年時に世代NO・1だった高橋宏と今は常に一緒にいるほど仲良しな姿を見て喜ぶ。「あの時、そんなことになるとは思いませんでした。感激ですよ」。神港橘高校3年、息子の最後の夏となった20年はコロナ禍のため戦後初めて大会中止となった。父雄一さんは「5月20日でした。休校中で自宅でその知らせを受けました。あの時の絶望した姿は忘れられません。数日間、言葉をかけられなかった」。戦わずして夢が散った。当時の全国の球児と同じく金丸もやり場のない悔しさに我を失った。
「逆境」が金丸を強くしてきた。コロナで休校の2カ月間に走り込み、鍛え135キロ前後だった直球が140キロを越えるようになり関大への道、プロへの道が開けた。
息子は兵庫県の独自大会8強(それ以上の試合はなし)で終えた夏、審判員を務める雄一さんは交流試合という形で甲子園で行われた中京大中京(愛知)対智弁学園(奈良)の一塁塁審を務めた。そのマウンドには高橋宏が立っていた。今は息子と親友となり中日の今後を支える若き左右の両輪となった。夢の続きはこれからだ。



