大相撲の元大関把瑠都のバルト(31=エストニア)が、元K-1王者ピーター・アーツ(45=オランダ)を3回判定で破り、総合格闘技デビューを白星で飾った。体格を生かしてアーツを倒し、上になって攻め続けて圧勝。K-1のレジェンドに底知れぬ能力を見せつけた。

 デビュー戦とは思えないバルトの戦いぶりだった。パンチを繰り出すアーツを、巨体でぶちかまし、そのまま抱え込んでは、足を掛けて倒す。怪力を生かして、アーツの体をマットに抑えつけ、拳を振り下ろすバルトハンマーを顔面に見舞った。

 1回でアーツの顔を赤く染め、流血させた。2回には裸絞めに捕まりそうになったが、背中越しにパンチを当てて逃れた。3回には、アーツの首を太い腕で抑えつけるギロチンチョークで、じわじわと追い込んだ。判定はジャッジ3人ともバルトの勝利。文句なしの3-0判定勝ちだった。

 「3回は問題なかったが、1回で決めたかった。思ったような勝ち方じゃなかったけど、最初の試合だし良かった」と、ちょっぴり不満げに試合を振り返った。それでも、2日前に相手が代わり、戦うイメージが完成されない中で、アーツに完勝。相撲で培った当たりや、柔道の足技を随所に出して、対応力の高さも見せつけた。

 初土俵から8場所で、十両に昇進してスピード出世といわれた大相撲以上に、バルトは総合に順応した。日本での練習を指導し、かつて石井慧やボブ・サップを教えた経験のある小路晃氏は「今までの相撲出身の選手たちとは全く違う逸材。毎日毎日うまくなった」と舌を巻く。東京のジムのほかに、大会直前には富山合宿も行った。「相撲と格闘技では違う筋肉を使うので、そのへんで苦労した。富山で海岸ダッシュをかなりやったよ」と、3分3回を戦う体力をバルトはしっかりつけてきた。

 旗揚げ戦でRIZINの中核を担うだけの実力、潜在能力を証明した。「私は明日(1日)からオフィス北野に入ります」と、今後は総合のほかに芸能活動も日本で行っていく意向だ。最高峰のUFCにもないスーパーヘビー級戦線に、とてつもない才能が出現した。【桝田朗】

 ◆バルト 本名・カイド・ホーヴェルソン。大相撲の元大関把瑠都。1984年11月5日生まれ。エストニア出身。04年5月に初土俵。10年春場所後に大関昇進。12年初場所で初優勝。横綱候補だったがその後は左ひざの故障に泣き、13年秋場所初日前に引退発表。198センチ、183キロ。