コロナ禍も長期化し、一時高騰したマスクもかなり流通し、おおむね価格も下がっている。全国的に品薄になった春ごろの時期も、どこからか大量のマスクを仕入れ、箱を積み上げて販売している店がいくつもあった東京の多国籍タウン、新宿・新大久保&大久保地区の最新マスク販売事情はどうなっているのか。

同エリアでは一般的な薬局以外にも「大久保通り」や、新大久保駅近くの路地、通称「イスラム横丁」(※いくつものハラルフード店が集まることなどから呼ばれる)などにあるアジア系雑貨&食品店などで、多くのマスクが販売されている。


新大久保駅近くの通称「イスラム横丁」と呼ばれるエリアにはさまざまなアジア系ショップが並び、まさに多国籍タウンの雰囲気
新大久保駅近くの通称「イスラム横丁」と呼ばれるエリアにはさまざまなアジア系ショップが並び、まさに多国籍タウンの雰囲気

界隈を少し歩くとすぐ、路上に置かれた看板に「MASK マスク 499円」と大きく手書きで書かれているのに気づく。


路上に置かれていた「50枚499円マスク」宣伝看板。ただ16日現在、ネット上ではもっと安い50枚270円台の商品も
路上に置かれていた「50枚499円マスク」宣伝看板。ただ16日現在、ネット上ではもっと安い50枚270円台の商品も

実際、近くのアジア系ショップの店頭には、50枚入り499円のマスク(※どこの国で製造したかは未確認)が計100箱くらい山積みになっていた。また別の香辛料店では、1箱400円のマスクも売られていた。

筆者の記憶ではこれらの店のマスク価格は半年くらい前は3000~4000円前後だったはずで、“激安化”はどんどん進んでいる模様。とはいえ、ネットで通販サイトを観てみると10月16日現在、中国製マスク50枚を279円で売っている業者もあったから、通販も含めると、現状において「50枚499円」は驚くほど安いという価格でもなさそうだ。

それはさておき、近くの外国人向け携帯電話ショップには「シンガポール製マスク ソフト&クール ¥800」との張り紙を発見。400円台のマスクと比べると倍近く高いが「シンガポール製」とはあまり聞いたことがなかったので、1箱購入。

箱には「Made in Singapore」と書かれてはいたものの、それ以外の文字は「ソフトな肌ざわり」「不織布マスク」などと日本語で書かれていた。アジア人の店員に聞くと「シンガポールで作っているが、日本向けに作っているのでニホンゴが書かれている」とのこと。ただ、箱に書かれた説明文の漢字にはところどころ、おかしな部分もあった。


シンガポール製マスクの箱には日本語で説明文が書かれていた。ただ、ところどころヘンな漢字が…
シンガポール製マスクの箱には日本語で説明文が書かれていた。ただ、ところどころヘンな漢字が…

そのシンガポール製マスクを箱から1枚取り出して装着してみると、ノーズフィッターなどもあり、形は日ごろ使っている日本製や中国製のものとほぼ同じだが、本体の不織布が薄く、ツルツルした肌触りの素材という印象。そのため空気の通りがよく涼しい感覚もあり、確かに「ソフト&クール」であった。夏場など暑い時期や屋内での使用に向いているかもしれない。ちなみにシンガポールは、新型コロナの死者数や死亡率が世界屈指に低いことで知られている。


ツルツルしてクールな肌触りという印象のシンガポール製マスク
ツルツルしてクールな肌触りという印象のシンガポール製マスク

また、少し歩いたところにあった、野菜や果物を売っているアジア系雑貨店では50枚850円で、ベトナム製マスクの箱が積んであった。新大久保&大久保エリアではコロナ禍当初のマスク品薄時期に、すでに一部の店でベトナム製マスクをいち早く売っていたことを覚えているが、今回初めて購入してみた。


シンガポール製よりも少し高かったベトナム製マスクの箱
シンガポール製よりも少し高かったベトナム製マスクの箱

箱にはベトナム語でいろいろ書かれており、ほとんど意味が分からない。ちなみにベトナムは新型コロナ感染の第1波を徹底的に封じ込めることに成功。7月末から発生した第2波も一時苦戦した時期もあったが、これまでほぼ収束させたとされる。

さて、“大久保価格”ではベトナム製マスクはシンガポール製より50円高かったわけだが、品質はどうか。箱を開けて着けてみると、形は日本製、中国製、シンガポール製などとほぼ同じ。違うのは本体の肌感覚だ。生地がシンガポール製と違ってややザラザラしており、普通の布に近く、かなりしっかりして厚めだという印象。「クール」なシンガポール製とは異なり、「しっかり」した作りで、ひもも少し太く、がっちり装着したという感覚がある。それだけに、こちらは寒い時期や屋外での使用がよさそうだ。


厚手の素材でしっかりした作りのベトナム製マスク
厚手の素材でしっかりした作りのベトナム製マスク

最後に、マスク入手困難だった約半年前、大量の中国製マスクを山積みで販売していた、印象深い店名の薬局「ドラッグの王国」大久保店へ足を運んでみたが、すでに閉店していた模様。


品薄の時期にマスクを山積みで売っていたことが記憶に新しい「ドラッグの王国」大久保店だが、すでに閉店していた模様
品薄の時期にマスクを山積みで売っていたことが記憶に新しい「ドラッグの王国」大久保店だが、すでに閉店していた模様

同店は開店してまだ1年たっていないくらいかと思われるが、時の移り変わりは早い。

【文化社会部・Hデスク】