現役最長トップ、宙組の真風涼帆、相手娘役潤花らの兵庫・宝塚大劇場での退団公演「カジノ・ロワイヤル~我が名はボンド~」は、4月17日に千秋楽を迎え、真風らは本拠地に別れを告げた。同作の東京宝塚劇場公演は5月6日に開幕し、6月11日の東京千秋楽をもって退団する。【取材・構成=村上久美子】

幸せに包まれた気持ちと振り返り、本拠地に別れを告げた真風涼帆
幸せに包まれた気持ちと振り返り、本拠地に別れを告げた真風涼帆

本拠地でのサヨナラショーは、トップ本拠地お披露目作「天は赤い河のほとり」のソロ曲で幕開け。新人公演でも主演した思い出作「オーシャンズ11」の楽曲では、次期トップ芹香斗亜と肩を抱き合い、歌った。

初舞台作で後にトップに就いてから主演した「NEVER SAY GOODBYE」からの楽曲もあり、ラストは「ONE HEART」を、宙組メンバーを従えて披露し、締めた。

正装はかま姿で、最後の大階段をおりた真風涼帆
正装はかま姿で、最後の大階段をおりた真風涼帆

06年入団の真風は、175センチ長身で男役として恵まれたスタイル。加えてノーブルな宝塚らしい男役として、星組だった下級生時代から注目を集めてきた。15年5月に宙組へ移り、17年11月に同組トップ就任。「究極の男役」として、その道を究めてきた。

サヨナラショーでもスーツを複数着こなしたが、最後の大階段は、正装のはかま姿。「私1人では到底たどり着けなかったこの場所に、今、1人で立てている。皆さまのおかげです」と、大事を遂げ、柔らかな表情であいさつした。

花を持ち、退団のあいさつをする真風涼帆
花を持ち、退団のあいさつをする真風涼帆

真風らとともに、宙組発足メンバーの寿つかさ組長も同時退団。寿はサヨナラショー幕開けを自ら告げ、宙組の代名詞的作品「シトラスの風」をセンターで熱唱。東京公演へ向けて「最後の日まで、ダンディーに品よく、ユーモアを忘れずに」と笑顔で誓った。

サヨナラショーの幕がおりた後は、真風が本拠地で最後の記者会見に臨んだ。

正装はかま姿で最後のあいさつを終えた(左から)トップ娘役の潤花、トップ真風涼帆、組長の寿つかさ
正装はかま姿で最後のあいさつを終えた(左から)トップ娘役の潤花、トップ真風涼帆、組長の寿つかさ

■真風涼帆 記者会見一問一答

真風 先ほど無事、最後の大階段をおり、宝塚大劇場を卒業させていただきました。(宝塚大劇場での)すべての公演(を終え)、千秋楽を迎えることができました。応援してくださる皆さまがいたから。感謝のきもちでいっぱいです。

舞台でも柔らかな表情だった。

真風 朝から天気も良く、気持ちのいい朝だったので、すごく明るい気持ちといいますか、元気な気持ちで舞台に立てました。でも、ほんと、宙組の皆さんが(出迎えで)待っていただいている状況は、熱くなる思いはあったんですけども、公演が始まってみると、そこには意識がいかず。日々の舞台と同じような感覚でした。

最後の大階段は、緑のはかまでおりた。

真風 お稽古中に(取材会で)お話をさせていただいたときには、まだどうしようかなと考えている最中でしたけど。宙組の仲間の意見を聞き、初舞台を踏んだ地でもあるので、(同じ)緑のはかまをはきたいなと思いました。

今公演では、舞台に手を添えて感謝を表す振り付けもある。千秋楽のこの日は、普段より、その時間が長かったようにも見えた。

真風 今回のフィナーレは毎日、感謝の気持ちを伝える場面が多く、いつも通り、感謝の思いを胸に、触れました。

サヨナラショーでもデュエットを披露した真風涼帆(右)と潤花
サヨナラショーでもデュエットを披露した真風涼帆(右)と潤花

2人目相手役に迎えたトップ娘役潤花と同時に退く。

真風 短い時間ではあるんですけど、一緒に作品を作ってこられた「唯一無二の時間だな」と思います。

本拠地とは別れたが、まだ東京公演が残る。

真風 (ジェームズ・ボンドは)すごくすてきで、やりがいのある役。東京公演に向けて、まだまだブラッシュアップしたい。

あらためて「宝塚とは何だったか」と聞かれると、「自分の人生すべてをかけた大切な場所でした」と即答していた。