12日に死去した大橋巨泉さんが司会を務めた各番組の出演者たちから、悼む声が続々と上がった。巨泉さんは、共演者の魅力を引き出し、それぞれをお茶の間の人気者に押し上げた。出演者たちは司会者としての天才的な手腕に驚き、人間的な魅力にひかれていた。

 フリーアナウンサー小倉智昭(69)は訃報を受けて文書を報道各社に送付した。「師匠でもあったし恩人でもあった」といい「覚悟はしていたのですが、相当うろたえました」と心境をつづった。

 小倉は巨泉さんの誘いで東京12チャンネル(現テレビ東京)を退職し、大橋巨泉事務所(現オーケープロダクション)に所属後、TBS系「世界まるごとHOWマッチ」のナレーターで人気を獲得した。

 18日の通夜に参列し「体は細くなり、昔の面影はなくなっていました。『長年ありがとうございました』と話しかけてきた」。また「私は40年前の夏、巨泉さんに競馬場で『僕と一緒に競馬の仕事をやらないか』と声を掛けてもらいました。私が初めての『愛弟子』でした。あの時、声を掛けてくれなければ、今の私はありません」。

 20日はフジテレビ系「とくダネ!」「直撃LIVE グッディ!」の中で秘話も明かした。「司会者であったと同時に大プロデューサーだった。企画の段階から出演者とか全部決めていく人だった。巨泉さんの言う通りにやると(視聴率が)30%を超えるんですよ」。

 人気番組「世界まるごとHOWマッチ」の番組終了にあたっては「(放送曜日が変わって)視聴率が多少落ちたんです。25%くらいの時に『数字が落ちた、やめる』って言ってやめたんです」。決して低調な視聴率ではなかったが、そこに満足せず、妥協しないこだわりを行動で示した。

 知られざる人柄にも触れた。「自分の思い通りにならないと気に入らない人でした。収録が終わって帰る時にエレベーターの扉が開いてないと、それだけで嫌になっちゃうくらいでした。海外旅行に行って空港に着陸すると一番最初に出口に歩いて行くくらいせっかちでした」と長年慕ってきた巨泉さんのエピソードを明かした。