周防正行監督(61)が3日、東京・TOHOシネマズ日劇で、さよなら日劇ラストショウ「Shall we ダンス?」の上映後、トークイベントに出席した。同館は4日に閉館を迎え、85年の歴史に幕を閉じる。

 この日、客席から作品を鑑賞したという周防監督。「久々に見ました。撮影から22年たって、22年前の自分の演出を60(歳)過ぎて見るのは、こういう体験なんだな」としみじみと話した。

 同作品の出演者は、ダンスの練習を重ねて撮影に臨んだという。ダンス初心者を演じた役所広司(62)について「ステップが踏めない役だったけれど、実は役所さんは結構踊れていた。踊れない演技をしているんです」と、撮影当時のエピソードを明かした。

 周防監督は、片手にカメラを携えて登壇した。舞台あいさつの際には、壇上から客席を撮影するという。「何でも記録したがるタイプなので。アメリカでやるとうけますよ」と笑顔を見せた。96年の公開初日舞台あいさつでも日劇の壇上に上がり、写真撮影を行った。後日、映画会社を通じて、その写真を見たいと言ってきた人がいたという。「理由を聞いたら、久しぶりにご夫婦で映画を見た方がいて、その後旦那さんが亡くなってしまったと。確認したら本当に写っていたんです」と、最後の1枚を撮影していたことを話した。「そんなことがあるんだな、と。日劇の『Shall we ダンス?』の初日は強烈な思い出です」と感慨深げに語った。

 トークイベント後、この日も壇上から写真撮影を行った。観客のファンから「監督ありがとう!」と声を掛けられると、「これからもいますから」と冗談交じりに笑顔で応じた。