約300万円と低予算で製作されたインディーズ映画「カメラを止めるな!」(上田慎一郎監督)が、東京・新宿K’sシネマと池袋シネマ・ロサで封切りした6月23日から公開100日を迎えた30日、“聖地”の1つ、池袋シネマ・ロサで公開100日記念舞台あいさつを行った。席上で、同劇場での舞台あいさつに100日連続で登壇した、曽我真臣(35)に上田慎一郎監督(34)から花束とともに、皆勤賞として「上田慎一郎監督作品出演券」が贈られた。

「カメラを止めるな!」は、上田監督が17年4月にオーディションで12人の俳優を選び、映画製作を前提としたワークショップを開催。同監督が12人を当て書きして脚本を書き、その直しとリハーサルを繰り返して俳優とともに作り上げ、17年11月に東京・新宿K’sシネマで6日間限定でイベント上映を行った。そこで話題となり、6月23日から新宿K’sシネマと池袋シネマ・ロサで封切られた。その後、口コミで評判が広がり公開館は全国に拡大。30日までの累計上映決定館数は、326館(上映中は245館)で、29日までに172万4856人を動員。興行収入は23日時点で23億円を突破した。

その大きな原動力の1つが、公開初日から100日連続で自主的に舞台あいさつに立ち続けた、曽我の努力と執念だった。公開当初、池袋シネマ・ロサ2階の193席あるスクリーン1は、50~60席しか埋まらなかったが、曽我は必死で舞台あいさつを続けたという。曽我は「2館で始まりまして…ロサさんは最初(観客が)50、60人で、客席を埋めたいと思いチラシ配りもしました。1週間後に客席を埋めることが出来て、うれしくて…感謝の気持ちを伝えたくて毎日、立たせていただいた。感謝の気持ちしかありません」と言い、号泣した。

上田監督は「100日間、どこかで誰かが1日も欠かさず、連続で舞台あいさつをしていました。曽我さんは100日連続、劇場に通っておりました。こんな人、いないですからね。すごい『カメ止め』にした、1人やからね」と曽我の努力を紹介し、ねぎらった。前日29日が44歳の誕生日だった、しゅはまはるみも「曽我君の力があったから、ここまで来られた」とたたえた。

曽我は、客席の「ありがとう、曽我さん!」の大声援の中、上田監督から花束を受け取った。花束の中には目録があり、中から1枚の紙切れが出てきた。それを見た瞬間、曽我は号泣し、言葉を出すことが出来なくなった。その中、上田監督が「何が良いかと思ってお姉さんに聞きました。役者にとって、これが1番いいかなと思って…今後、僕の作品に好きな時に出られる、上田慎一郎監督作出演券」と声を大にした。上田監督によると使用には

<1>遅くとも、クランクインの3カ月前までに上田監督に提出

<2>1回限り有効

<3>有効期限は2118年9月30日

<4>期限は100年あるが曽我真臣のみ有効

の決まりがあるという。曽我は「ありがとうございます」と声を絞り出して泣きだした。

上田監督は公開当初を振り返り「曽我さんに『何でそんなに大きな役じゃないのに、こんなに毎日、毎日、舞台あいさつに来てくれるんですか?』と聞いた時、『僕みたいな役者が毎日…毎日来たら、みんな(メインキャスト)も来てくれるんじゃないか』と…」と語り、涙した。そして「本当にありがとう。みんな、曽我さんに引きずられて来てくれた」と、全国に作品を広げる原動力となった曽我に重ねて感謝し「みんな、ありがとう~!!」と絶叫した。