11月29日に心不全のため亡くなった女優赤木春恵さん(享年94)の葬儀・告別式が4日、東京・杉並区の築地本願寺和田堀廟所で営まれた。弔辞を読んだ里見浩太朗(82)が取材に応じた。

東映ニューフェースで東映入りした際、赤木さんにかわいがってもらったという。「撮影所のセットの中で、赤木のお母さんに『どんな役をやりたいの』『立ち回りを勉強しなさいよ』『眉の引き方、男らしくしなさいよ』と言われました。古い時代の赤木春恵さんが次々と浮かんでくる。『渡る世間は鬼ばかり』や『3年B組金八先生』で女優魂を見せてもらいましたが、一緒にセットの隅に座った赤木さんが目に浮かびます」と唇をかみしめた。

里見浩太朗の芸名の由来について明かした。赤木さんの夫で東映のプロデューサー栄井賢さんから「お前、芸名を考えろ。東映は赤字の会社だったが、『里見八犬伝』がバカ当たりした。東映は大黒字になった縁起の良い名前だ」と勧められ、里見浩太朗を名乗るようになったという。「赤木さん、栄井さんご夫婦、つまりお父さん、お母さんあったからこそ、里見浩太朗が生まれたと思っています」と感謝した。自宅に遊びに行き、餅を焼いてもらったこともあったという。「独身寮にいたころ、時々、ご飯をごちそうになりに行きました。うちに遊びに行っていいと思わせてくれる、本当にやさしい2人でした」と故人をしのんだ。

赤木さんは84歳の時、里見が主演したTBS系連続ドラマ「水戸黄門」にも出演した。「赤木のお母さんをおんぶするシーンがあって。重かったですよ。でも放送でカットされた。きっとぶざまだったから、形がスマートじゃなかったからかな」と振り返った。最後に「素晴らしい女優さんでしたが、肌と肌が接するような思い出が浮かんできます。母親も15年前に94歳で亡くしましたが、ダブってきたりする」と話した。