NHK紅白歌合戦出場31回を誇る歌手坂本冬美(53)のYouTubeでのはじけぶりが話題だ。大物歌手にもかかわらず、セーラー服姿を披露したり、自撮り棒にGoProをつけて撮影するなど孤軍奮闘。再生回数も40万回近くに達し、着物姿の演歌歌手のイメージとのギャップがファンの裾野を広げている。新曲「俺でいいのか 追撃盤」も17日に発売され、この日は生配信ライブが予定されている。

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年に1~2カ月の劇場公演に全国でのコンサート。加えてテレビの歌番組などスケジュールがぎっしりの坂本でも、新型コロナウイルスの前では無力だった。活動がすべて止まり「俺でいいのか 追撃盤」のPRのためにスタジオで無観客ライブを開催する予定だったが、これも「密閉、密集、密接」の3密のため中止に。「仕方なく」と書くと語弊があるが「できることをやろう」ということで、自宅での練習風景をYouTubeにアップしたのが、4月中旬だった。

着物ではなく体のラインが分かるカラフルなセーター姿。もともとコメディエンヌの評価は高かったが、セーラー服姿まで披露するなど、トークもうまく、スナックの美人ママといったところだ。

坂本 普段の自分をさらしてしまいましたが、和服姿で真面目に歌う私とのギャップに大変驚いたようです。面白いおばちゃんが、少し浸透したかな? 

あくまでも、ステージで会えないファンのためだった。

坂本 生の歌を届けられないので何とか届けようと、YouTubeでのライブ配信を予定したのですが、それもコロナの影響で延期となり、仕方なく自宅から普段練習している姿を皆さんに見て頂こうと思いました。あんなおバカなところをお見せするなんて…。今回のようなことがなければなかったことですね。

ステイホームでは、歌のレッスンはもちろんだが、映画を見たり読書するなど充電に努めたという。中でも、地方の仕事が多いことからできなかったガーデニングにも目覚めたという。

坂本 時間に追われる生活をずっと続けてきたわけですが、いま与えられた時間をどう過ごすかを考えさせられました。殺風景だったベランダにお花やお野菜を植えて育てようと思い、この3カ月でぬくもりのあるベランダになりました。仕事だけに生きてきた感がある人生でしたが、もともと田舎者なので、ゆったりとした時を過ごすことが性に合っていると再認識しました。正直、ブランド物を買ったり着飾る事も、面倒になったので、これからはシンプルに細やかな幸せを感じながら生きていきたいです。

それでも、今一番したいことは? との問いに「何をおいても生のステージ、コンサート」と答えた。人の価値観も変えたコロナ禍後の坂本のステージが期待される。【竹村章】

○…新曲「俺でいいのか 追撃盤」は昨年リリースした同曲のリメークだ。坂本が歌うあでやかな男唄をギターバージョンでブラッシュアップ。オリジナルのほか、ギターバージョン、男性キーバージョンを収録している。坂本は「さらなるヒットを目指し、何かもうひと押しとスタッフと考えて、さらに哀愁のあるギターバージョンと男性にも歌って頂けるように、作曲の徳久広司先生に歌唱をお願いしました」。