TBS系連続ドラマ「不適切にもほどがある」を、昭和のオヤジの視点から楽しく見ている。
ドラマでは、昭和に生きる体育教師・市郎(阿部サダヲ)のタイムスリップを軸に2つの時代が並行して描かれ、令和との時代ギャップが浮き彫りにされる。
それぞれの時代で、自動車整備工とアプリ開発会社員として働く父子を磯村勇斗(31)が一人二役で演じていて、そのノリの違いが端的に昭和←→令和の空気の違いを感じさせる。父子の類似点と相違点をそれらしく演じ分ける磯村はさすがだが、個人的にはその整備工に憧れる市郎の娘、純子の方に思わず目が行ってしまう。聖子ちゃんカットにロングスカートの“スケバン”スタイル。80年代には、こんな女子高生をよく見かけた。昭和そのものなのだ。不良ぶっていても何だかんだ父親のことを思う姿もオヤジ心をくすぐる。
演じている河合優実(23)は、3年前の映画「サマーフィルムに乗って」でブルーリボン賞新人賞、一昨年の映画「PLAN 75」で日刊スポーツ映画大賞新人賞を受賞しているので、その都度取材する機会があった。
「不適切-」では、役柄もあって、どこか中森明菜のような雰囲気があるが、ショートカットにしていた取材当時は、「新人」とは思えないような落ち着きに山口百恵のイメージを重ねたことを覚えている。
見え方の変化は女優としての資質なのだろうが、聖子ちゃんカット→明菜→百恵と昭和のオヤジに懐かしさを感じさせる不思議な空気を持っている。
3年前は「賞に後押ししてもらった気がします。リミッターを外して、怖がらずに飛び込んでいきたい」と思いをストレートに語っていた。
大ベテランの倍賞千恵子(82)との共演作で受賞となった一昨年は「年を取ることはすごく楽しみ。それぞれの年代のすてきな女優さんや女性に出会えるので。『PLAN 75』の倍賞さんみたいなことができるんだったら、すごくいいなと思います」と話している。
22年から23年にかけては出演映画15本という密度の濃い仕事ぶりだった。コメントの変化が驚異的と言ってもいい成長スピードを実感させる。
「PLAN 75」で共演した倍賞は「私が同じ年の頃を想像すると、あんなに落ち着いていなかったですね。ちょっとしたシーンの佇まいとか、すごく雰囲気があって、素晴らしい女優さんだと思います」。映画全盛期から息長く活動してきた人が、ここまでべた褒めしたことにも驚いた。
「不適切-」では、現代にタイムスリップした市郎が、自身と娘の運命を知り、結果的に存在感を増した河合演じる純子は、ストーリーの先行きにますますコミットしてきている。
3月1日放送分では、市郎が純子を令和に同行。毎回おなじみとなった終盤のミュージカルシーンの「主役」もこなした。令和のぬるい空気にグサッと刺さるスケバン調のセリフが気持ち良かった。河合の活躍とともに佳境を迎えるドラマ終盤がますます楽しみだ。【相原斎】



